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夏合宿 水俣乗越から北鎌尾根へ19/08/15

山行期間 2019年8月9日~2019年8月12日
メンバー MTU KSU HYS
山行地域 北アルプス
山行スタイル バリエーションルート

今回、私たちの夏合宿の舞台となったのは北鎌尾根。北鎌への取り付きルートは幾つかあるが、私達は上高地から水俣乗越を通り、天上沢を下って北鎌沢出合へと目指すルートを取った。

 

個人的には、今回の山行を無事に終える最大のポイントは、ルートファイティングでは無いかと考えていた。勿論、体力面や登攀能力も大きなポイントにはなるだろうが、ルートをミスする事により、余計な時間を割いて体力の低下を招き、更にはルートに行き詰まって最終的に危険な登攀を余儀なくされる様なことは絶対に避けたいと考えていた。

今回の山行では、私達3人は意識的に「稜線通し」を貫いた。

その結果、ルートを大幅にミスする事も無く、比較的計画通りに山行を終える事が出来たのでは無いかと思う。しかし、反省点もあった。ルートファイトを意識するあまり、後続の2人と距離がひらくことがあった事だ。一番最後尾にはリーダーであるMTUさんが居てくれるという安心感と、自分の役割はミスする事無く的確にルートを読む事だという意識が強すぎて、次の尾根を確認する為に少し先を行き2人を待つという場面が多くあった。直線距離としては十分に見渡せる距離であったと思う。ただ、岩場では少し回り込む様な動きをすれば、数メートル先を行くだけでも先行者は岩陰に隠れて見えなくなってしまう。その先で、もしも自分が足を踏み外し滑落するような事があれば・・・と振り返ると恐ろしい。

 

8/10日(土)晴天 5:50 あかんだな駐車場 6:20上高地バスターミナル 夏山を楽しむ多くの登山客で賑わう中、8:10徳沢、9:00横尾、11:00ババ平、12:00水俣乗越分岐、13:20水俣乗越へと足を進める。ここまでは危険個所も無く一般道であるので道もしっかりとしていて歩きやすい。

北鎌沢分岐を目指して天上沢を下降する。天上沢上部は非常にザレていて集中して足を進めないと足を滑らせて危険である。ルートは鮮明で道に迷うことはないだろう。雪渓があるとの情報もあったが、下部で少し残っていた位で軽アイゼンは必要なかった。雪渓は数メートル先で無くなっているのが見えていたので私は着けずに進んだが、MTUさんとKSUさんはアイゼンを着けたかったみたいでアイゼンを着けて進んでいた。数メートル先ですぐに脱いでいたけど(笑)

河原に出てからはアドバイス通りこれでもか!!っと進んでも中々北鎌沢との分岐には出てこない。。まだかまだか、とGPSを確認しながらやっと北鎌沢出合に到着。分岐には数パーティーのテント村が出来ていた。

8/11日(日)3:00起床 4:30北鎌沢出合出発 北鎌沢は右俣を行く。ややこしい分岐が出てくるのか?と心配していたが迷うことなく進めた。上部でP7の稜線に向かって走る通称クライマーズホイホイの様なルートも見つけたがしっかりとコルを意識して目指せば迷うことも無く、ルートは鮮明であった。

6:40 北鎌のコル コルはブヨの天国でした(笑)こんなところでテントを張るなんて・・想像するだけでも恐ろしい。暫し休憩していよいよ北鎌尾根に足を踏み入れる。MTUさんの指示でトップを行かせて貰う。独標まではルートも鮮明な樹林帯。太陽の日差しがジリジリと身体を照り付ける。

 

10:00 独標手前コル 前方に大きく聳える独標。後方から独標を眺めてルートを探す。岩登りの醍醐味はルートを読むことだと思う。岩壁を前にして、じっとその壁を見つめる。岩の弱点を探しながら、どうやって抜けてやろう。どうやって攻略してやろう。と、ルートを探す。

 

この瞬間、私の胸中は99%不安と緊張で満たされる。緊張を強いられる環境下でその瞬間を楽しめる程、私のメンタルは強く無いのだ。岩登りが楽しい?いや、寧ろ登攀中は全く楽しくない(笑)早く帰りたい。早く安全な場所へ行って安心したい。ただそれだけなのだ。

 

独標手前から千丈側をトラバースで進む。足場は想像以上にしっかりしていてスムーズに抜ける。逆コの字に張り出した岩場を抜けた後、少し悪いトラバースを直進するのか、そのまま稜線に向かって直登するのか悩んだ。私は主稜線に向かって直登する選択をした。(下調べで独標のトラバースを下りすぎて主稜線に戻るのに苦労している記録を幾つか見ていたからだ。)登り始めて少しして、前方右側の岩場(私達とは違う岩)に先行パーティーが見えた。これはルートをミスしたか?と思ったがそのパーティーとは随分距離が離れていたはずだ。様子を見ていると主稜線に戻るルートで手こずっている。

ルートを読んで進んでいくとチョックストーンが挟まっている岩場を見つける。事前の下調べで独標直登ルートの目印がチョックストーンである事は頭に入っていた。そのまま主稜線に向かって突き上げると頭上の稜線に人影が。大丈夫だ。ルートは間違っていない。

無事に主稜線に戻る。先に登っておられた方に話しかけた。「稜線上を進んで来られたんですか?」と。すると、私たちと同じ所を来られた様だ。ガイドの方が前方にいらっしゃったみたいでその方に付いて来られたみたいだが想像以上に大変だったと。稜線上ずっと先の進行方向に目をやるとガイドらしき方がロープで3人を連れて進んでいた。ロープで誘導しながらスピードを落とすことなく進んでいる。今回の山行では、何組かのパーティーに追いつき先を行かせていただいたが、最終的にこのパーティーに置いつくことは無かった。むしろ距離はどんどんと離されていたように思う。

独標を越えて、その後も稜線通しを意識した。個人的に今回の山行の核心は独標トラバース後の主稜線への登り返しとP14の突破だと考えていた。p14は白い岩肌でとてもザレている様子。なるべく無駄なトラバースはしたく無い、危険な登り返しも避けたいと考えていた。それに、p14手前のコルから延びるトラバースに入り込み、大幅なタイムロスをしている記録を幾つか見ていたのだ。p14らしきピークの手前ではっきりと千丈沢側に延びるトラバースルートがあった。ここでも、どちらに行くのか?という選択を迫られたが、稜線上を行かせてください!と自分の意思を伝えさせて頂いた。

稜線上は危険な箇所も無くスムーズに進むことが出来た。その後も順調にp14、p15、p16といずれも稜線上を行く。このころには前方に大きく聳える大槍の姿が。12:00頃、北鎌平に到着し暫し休憩を取ることに。北鎌平から大槍を食い入る様に見つめる。遠目で眺めてる分にはルートは全く読めない。。何処を行けばいいのか・・・大槍を登攀している先行パーティーの動きを必死で追う。

 

そんな必死にルートを探してる私の目の前でMTUさんとKSUさんは大の字になって寝始めた(笑)

 

驚愕である(笑)大槍を目の前にして、この2人は今にも爆睡しそうな勢いである。2人が大の字になってね転びながら休憩をしたのは、実はココ北鎌平だけではない(笑)休憩場所で、ヘルメットを顔面に被りながら大の字になって寝始めるという光景に数回遭遇していた(笑)

 

なんて強いハートの持ち主なのだ。。チキンハートの私には北鎌尾根の稜線上で大の字になって休憩するなんて余裕は無い(笑)願わくば危険なこの尾根から早く抜けたい。安心できる場所でゆっくり休憩したいのだ。そんなこんなしていると、さっきまで晴天であった空にどんどんとガスが出てきて一気に槍がガスで覆われる。

 

ガスが出てきました!出発しましょう!とチキンハートの私は叫ぶ(笑)2人ともチキンハートの私の勢いに負けて出発の準備をしてくれた(笑)

 

大槍の登攀は一歩一歩足を進めると、遠目で見ていたよりもルートは明瞭であった。着実に一手一手慎重にホールドを探す。最後のチムニーの場所は北鎌平から把握していたので迷うことなくチムニーの真下に出ることが出来た。チムニーを登りきると直ぐに槍の頂上が視界に入る。

 

最後のチムニー登りはちょっと物足りなかったけど、怪我無く無事に登りきれた事を称えあった。今回、トップを行かせて頂いたことはとても良い経験になった。やはり私は岩登りが好きなんだと改めて感じることが出来た。登っている最中は殆ど緊張と不安しか感じなかったけれど、その心の何処かで、緊張と不安を楽しんでいる自分も発見した。明らかに興奮していたと思う。

 

北鎌登攀中に私は千丈沢側に見える如何にも悪そうな茶色い尾根がずっと気になっていた。どうやら硫黄尾根というらしい。春に北穂に登ったときは前方に見える前穂北尾根に魅了された。登れば登るほどチャレンジしたい山が増える。まだまだ努力が必要だ。技術面も体力面も。

私の今現在の目標は2020年、夏に挑戦するモンブランである。一年後、モンブランの頂上に立てるように。今できる最大限の努力をするのみである。

 

行動記録

8/10 5:50あかんだな 6:20バスターミナル 8:10徳沢 9:00 横尾 10:00一ノ俣 11:10ババ平 12:00大曲 13:20 水俣乗越 15:43 北鎌沢出合

8/11日 4:30出発 6:40北鎌コル 8:00P9 10:00独標 12:00 p15 13:30 槍ヶ岳山頂 15:12 槍山荘発 18:30ババ平

8/12 6:10ババ平発 10:10バスターミナル