山行期間 | 8/11-8/14 |
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メンバー | SGY、NGS、TKD、SOT、BAN、KIS、YSZ、TRD、HJS |
山行地域 | 剣岳 |
山行スタイル | アルパインクライミング |
8/10 深夜22:00の室堂、天候は雨、頭が痛くてたまらない。
そんな状況でやっていることはチケットの列に並ぶ事である。朝の5時くらいまではこのまま居続けなければならない。寝れるようにマットも敷いてある。問題ない。
新しい職場の上司にこの事を話すと驚きが隠せない顔をしていた。夜を徹して車でここまで来る他のメンバーからしたら楽な方なのになぁ…と独白。
2018年夏合宿、場所は通いなれた劔岳である。先日大阪から転居した自分も声をかけて頂けるだけありがたい話である。現地に近い別動隊である自分は率先してチケット売り場に並んでる。初日の行動時間に影響するので基本的に始発をキープである。それにしても頭が痛い。吐き気もしてくる。起きてても仕方ないので強引に寝る。
8/11 深夜3:00 大阪からのメンバーが到着先日の小川山で顔を合わせたおなじみのメンバーに挨拶 出発時間を決めてお互い少しでも体を休める。さすがに完徹では体の負担が大きい。
5:00 チケット売り場で無事切符を購入する。人心地である。マットと荷物を回収して人の邪魔にならない所へ移動する。他のメンバーは寝ているだろう。邪魔するのも悪いかと思いその場で荷物整理をする。途中で我慢できずにトイレで吐く。なかなかの体調不良だ。いつも通りなら時間が解決してくれるはずなので我慢する。
6:20 少し遅れ気味になったが無事室堂を出発、途中で薬をもらって飲む。メンバーに医療関係者が多いのはありがたい。
11:10 これもいつもの剣沢に到着。ここから進めるかどうかである。事前情報ではこの先の長次郎の状態が悪い。左又は無理、右又も要注意らしい、事前に教えてもらっていたガイドのブログには「死のにおいがする」なんて物騒な単語が書いてあった。メンバーの体調も(自分以外)問題ないようなのでそのまま予定通り熊ノ岩を目指す。
12:25 長次郎谷出会いから雪渓をつめる。ここらあたりから致命的にメンバーから遅れ始める。まずいとは思うのだが体が動かない。途中の岩場で休憩しつつ、自前の薬の追加。
現状の症状はシャリバテに近いと思われる。吐き気のせいであまり行動食を取っていなかったかもしれない。頭痛が落ち着いてきてから水と食べ物を体にいれる。なんとかなりそうだ。熊の岩が見えてきたあたりでSGYリーダーが様子を見に来て下さる。申し訳ございません、この体調不良は「二日酔い」です。今晩から山にはいるというのに新しい職場で進められた日本酒を断れなかったせいなんです。一緒にいったメンバーの方も申し訳ないです。熊ノ岩についてから上部の左又、右又の偵察。やはり左の方が状態が悪い。年々雪が少なくなってきているように思う。どちらも半分地肌がでていた。やはりいくなら右かという話で今回はまとまり就寝。昨晩から皆まともに寝れてないのですぐに意識を手放す。
8/12 本日も少々天候霧がかかってはいるが活動できると判断3PTに分かれて六峰フェイスの登攀である。メンバーと相談して最初はベーシックな「Cフェイス剣稜会ルート」
上部のリッジの高度感以外はなんて事の無いルート、自分も経験しているルートだけに安定してリードできた。最後のピッチだけ少しロープが足りなかったので後輩の二人にリードしてもらう。自分もよく初めてのピークを先輩に譲って頂いた記憶が思い出される。少し感慨深くなる。Cフェイス下降路も慣れたものでいつもの懸垂下降位置まで移動。前回来た時より立派な支点になっていた。安心して使う。続いて「Aフェイス魚津高ルート」先ほどの剣陵会ルートより難しく、途中でA1ルートに分岐する為、ルートファインディングも難しい。これを後輩のメンバー二人でリードしてくれた。感無量の気持ちになる。今後も頑張ってくれるだろう。
帰り道は最悪捨てシュリンゲの同路懸垂下降を考えていたが、踏み跡らしきものを探すとハイマツの根元に捨て縄を発見さらに進んで藪の中でもう一つ発見。こういう勘が働くようになってきた自分に少し驚きの気分がでてくる。
少し遅めの17:00くらいに熊ノ岩に帰還。ここで明日の行動予定を会議する。予定では八峰上部に行くのだが、天候が悪い。下降路予定の長次郎の状態も悪い。おそらく登れはするが下るのに手間がかかるだろう時間的に厳しい。最終的に全PTメンバーの意見を統合すると「ピークが踏みたい」という思いが強かった。よくよく考えると春、夏含め複数回撤退したメンバーが多いのだ。当然だろう。安全面、ピークを踏むのを優先して八峰をあきらめて長次郎右又を越えて早月尾根に抜けるルートとなる。
8/13 6:05 熊ノ岩出発。天候は雨、昨晩は雷すら鳴ってた。少しでも弱まってくれて助かる。先頭はNGSリーダーがルートを探してくれている。雪渓を踏むのを最低限にして極力地肌がでている場所を抜けているようだ。勉強になる。比較的危なげなく北方稜線上まででる。NGSさんのルーファイの賜物だろう。「死のにおい」はしなかった。雨に濡れている事もあり、北方稜線上で2回ほどロープを出す。そして10:40剣岳ピークを踏む。涙を流してるメンバーも複数人いる。こちらももらい泣きしそうだ。名残惜しいが、天候はあまり良くない。早めに下山を目指して下降を始める。途中で半袖短パンにコンビニのビニールカッパで頂上にきている若者たちとすれ違う。若さってすごいなぁ…。マネできそうにない。(そう思っていたが彼らもセルフビレイ用の安環ビナとシュリンゲを持っていた。)
14:10 早月小屋到着。天候は晴れてきていたが皆の体力を考慮し宿泊する。天候がわるかった影響でヘリが飛ばず水がかなり制限されていた。今後来るときも注意しておきたい。
8/14 後は下るだけ9:30に馬場島着。
今回はメンバー達のレベルアップが見れてうれしかった。今後の山岳会も安泰だと勝手に安心していた。
あ、そういえば天候悪かったのにライチョウいなかったな、残念。
TKD
〈行動記録〉
8/11(土)室堂7:45→雷鳥平8:25→別山乗越10:25→剱沢11:10→長次郎谷出合12:25→熊ノ岩15:00
8/12(日)八ッ峰六峰Cフェース・剣稜会ルート、Aフェース魚津高ルート
8/13(月)熊ノ岩6:05→池ノ谷乗越7:50→長次郎のコル10:10→剱岳10:40→早月小屋14:10
8/14(火)早月小屋5:55→馬場島9:30