山行期間 | 2017年1月6日(金)夜~8日(日) |
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メンバー | SGY, MTM, UET, TYK, KSH, TCH, INO, SOT, MRJ, HJS, TNK |
山行地域 | 南アルプス |
山行スタイル | 雪山登山 |
いよいよ冬山ステージの本番、3000m超えの高峰・仙丈ヶ岳へ挑戦する日がやってきた。この日のために育成メンバーは11月から、アイゼントレーニング+担荷を2回、冬合宿とステップを踏んできた。
天候は2日目午後からの崩れが心配される予報だが、大阪を予定通り出発。
戸台よりやや手前の道の駅「南アルプスむら長谷」のアスファルトにテントを張り仮眠。(北沢峠よりここでの仮眠のほうが寒かった・・・)
戸台駐車場の混雑を懸念したが、駐車している車は数台程度。一安心。駐車場で共同装備の荷分けと身支度を行い、トイレを済ませ、ビーコンチェックをし、6:55出発。しばらくは戸台川沿いの林道歩き。ときどき渡渉。日が昇りきると、空はすばらしい青色になっていく。しばらく進むと巨大な人工物が見えてきて、あれが白岩堰堤と教えていただく。
丹渓山荘を過ぎ八丁坂をある程度登りきっても、雪はうっすらとしかなく、安全に歩くことが出来る。その後積雪状態となったところで、アイゼンを装着。太平山荘を抜けて最後の登りをがんばり、北沢峠に到着。
テン場についたら、テント類を傷つけないよう、まずアイゼンを外し、ガチャ類を1箇所にまとめた。育成メンバーの半数は雪面へのテント設営が初めてだったが、リーダー陣に倣って、スコップで整地し、本体設営、外張り設置、竹ペグ設置と積極的に動いた。設営後は各テントでお茶タイムと天気図作成。夕食のおいしい鍋に舌鼓をうち、気付いたら、18:00過ぎとなる。「いま寝たら、起床まで10時間もあるよ・・・」とげんなりしたが、結局寝支度をしたら、みなあっという間に沈黙し、就寝。夜にトイレで外に出たら、星と月明かりでとても明るい!明日の少なくとも前半は、天気がもちそうだ!
翌朝は4:00起床。いよいよ今日は山頂アタック。予報を考えれば、とにもかくにも午前中勝負。まずは小仙丈ヶ岳をめざしそこで判断ということで、目標から10分遅れの5:40テン場出発。昨年秋の北八ヶ岳縦走のときは、撤収も込みで1時間半で支度ができたはずだが、冬装備ではまだ不慣れなため手際が悪い。
そしてわずか15分、登山口ですでに暑く感じ、もうウェア調整。本当に冬はいろいろな調整が難しい。
そしていざ登り始めると、自分の足が重くてスピードがあがらない。「午前中勝負」なのに。冬靴とアイゼンの重みに負けないように、もっと鍛えないと。
小仙丈ヶ岳手前の、樹林が切れるあたりで、再度ウェア調整。風などを想定して、リーダーからミドルウェア、バラクラバ、ネックウォーマー等の着用を指示され、各自調整を行う。樹林を出たら、確かに風が直接体に吹き付けて、体感気温が低く感じられる。しかし、青空とはいかずとも、空を覆う雲は高いところにあり、南アはもちろん、富士山、乗鞍まで、周囲の景色はしっかりと見える!無事に小仙丈ヶ岳へ到着し、それぞれに写真撮影したところでリーダーが「さあ、進みましょう」と、山頂を目指す号令が!
下山時の下降路の目印として標布を1本たて、山頂へ向け出発。多少の風はあるものの、空は高曇りの状態でかろうじて安定を保っている。山頂までは急登、トラバース、氷結面の通過などあったが、これまで積んだアイゼンワーク訓練の成果で、みな無事に通過。とうとう目指す山頂に到達した。まさか本当に山頂に立てるとは!冬山3000mでも、正しく天候を判断し、山にあわせた適切な体力と技術を備えれば、自分でも登れるのだ(連れて来られただけだけど・・・)と大変感動した。メンバーも全員大喜び。
一通り記念写真を撮ったら、他のパーティーに山頂を明け渡して下山開始。するとリーダー陣の想定通り、雲が重くなり、小雪が舞い風も出てきた。小仙丈ヶ岳で一瞬足を止めたが、それ以外は森林限界までほぼ休まず下り、樹林帯に入ったところで、ほっと一息、休憩。行動食と飲み物を補給し、再出発。その後は休まず、二合目で近道を選択してテン場に戻った。
てっきり、ここでもう1泊するかと思いきや、「テント撤収して戸台へ下山します」とリーダーの指示。戸台駐車場が雪で埋まると、車が駐車場から出られなくなることを懸念しての判断。たしかに、積もるタイプの雪が、どんどん降ってくる。40分でテント撤収、パッキングを行い、13:00過ぎに北沢峠を出発。
昨日登ってきたときとは打って変わり、登山道が薄い雪で覆われて、石、岩が見えにくくなっていて、大変歩きにくい。アイゼンは装着したまま、必死に前へついていく。一度アイゼンを外したものの、凍結箇所でステンと転ぶ。再度装着して、そのまま戸台まで歩き続けた。懸念の渡渉は2箇所。もう暗くなっており、ヘッドランプで照らして慎重に靴の中まで濡らさないように、と思ったが、「どうせあと少しで駐車場だから」と覚悟を決めてバシャバシャと勢いよく進むメンバー続出!やっと駐車場に着いた頃には、朝の行動開始から12時間が経過していた。12時間も行動できるとは!育成メンバーも、みんな強くなりました。
リーダーの懸念どおり、駐車場はすでに積雪状態となっていた。やはり下山は適切な判断だったのだと実感。
今回、自分なりの教訓が2点。1点目は渡渉について。
初日の途中、メンバーの1人が渡渉に失敗して川に上半身までつかってしまった。冬山では濡れが低体温や凍傷に直結するため、渡渉で絶対に転倒しないように、靴の中もぬらさないようにと、リーダーから改めて教えていただく。また予備の靴下・手袋は必携、と肝に銘じる。
2点目は高所での行動について。
もともと自分は高所に弱めで、その対処法もわかっていたつもりが、今回登るのに必死になってしまい、仙丈ヶ岳山頂から下山開始してすぐ、呼吸が浅くなっていることに遅ればせながら気付く。「あ、しまった。高度障害が出そう」と思ったときはすでに遅く、みるみる気持ちが悪くなってきた。それでもなんとか歩けているつもりだったが、後ろにいたメンバーに「ふらついていますよ、大丈夫ですか」と声をかけられ、初めて自分の状態を把握できた。高所では深く息を吐くように、また自分の行動を客観的に把握、判断できるように。
今山行、貴重な三連休を育成メンバーのために使っていただいたリーダー陣、そして戸台~北沢峠往復に同行し、育成メンバーへ様々な目配りをしてくださったOSMパーティーに、感謝の気持ちでいっぱいです。
冬山は気象判断、前進と撤退の判断、メンバーの体調把握、などなど、夏山の何倍も、考え判断しなくてはならないことが山盛りですが、これから経験を重ねて、少しずつ力にしていきたいと思います。
(MRJ記)
<行動時間>
1/7 戸台駐車場6:55→白岩堰堤8:55→熊ノ穴沢10:00→丹渓山荘10:40→大平山荘13:15→北沢峠14:00→北沢駒仙小屋14:15
1/8 北沢駒仙小屋5:40→北沢峠5:55→四合目7:10→大滝ノ頭五合目7:25→小仙丈ヶ岳8:35→八合目9:00→仙丈ヶ岳9:55→小仙丈ヶ岳10:40→樹林帯11:05→二合目11:50→近道登山口12:05→北沢駒仙小屋12:20~13:00(テント撤収)→太平山荘13:25→丹渓山荘15:00→熊ノ穴沢15:25→白岩堰堤16:25→戸台駐車場17:35