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夏合宿(源次郎尾根主稜)16/08/16

山行期間 8/11-13
メンバー ABE,TKD,KRA,DTE
山行地域 剱岳
山行スタイル アルパインクライミング


剱岳に登ったことがない新人二人、夏合宿で源次郎尾根から剱岳に登頂したいと考えていたところ、A・T両先輩が参加してくださることになり、6月に計画作りとトレーニングを開始した。
計画は、剱沢をベースキャンプとし、源次郎尾根主稜の完登を目標にした。
トレーニングでは、初級アルパインルートをアタック装備で登ることを念頭に、登山靴での初級クライミング、御在所岳前尾根等でのリードクライミング、歩荷トレーニング等を2ヶ月にわたり、ほぼ毎週行った。

調査もトレーニングも完了と思っていた出発前だったが、猛暑と雪不足による剱沢雪渓崩壊・通行規制の情報が入り、一般ルート(別山尾根)への変更も視野に入れての出発となってしまった。

結論として、雪渓のトラバース=アプローチが、今回の合宿一番の核心となったように感じる。

8月10日 22時離阪

■8月11日 3時立山駅駐車場着
3時間の仮眠後、7時20分アルペンルートで室堂に入る。
8時40分 室堂を出発
10時30分 剱御前小屋
11時10分 剱沢テント場
テント設営後、派出所で剱沢雪渓の状況を確認し、源次郎尾根の取り付き偵察のため、剱沢を下降する。

イメージしていたような広大な雪渓がなかなか現れない。
雪渓の両岸に黒く深いシュルンドが見えてくると、別山尾根があるのに源次郎尾根に行かないといけないのか、という気がしてくるが、そのためにトレーニングを重ねてきたのだから、簡単に諦めるわけにはいかない。

巻道を1時間ほど下り、取り付きポイントの巨大な岩が見えてきたところで、雪渓に降りる。
軽アイゼンを付け、安全に渡れそうなルートを模索。雪渓には大きなクレバスがいくつかできていて、所々表面が溶けて水が流れている。なかなか進むのが躊躇される。
Aさんのヨーロッパ仕込みの氷河歩き確保方法で、Kさんにルートを探してもらう。
たった数十メートルのトラバースだが、次の一歩で踏み抜いて雪渓の下に落ちるのでは、と思ってしまい、足がすくむ。
雪渓を渡り切って、取りつきを確認、13時30分偵察終了。
剱沢から源次郎尾根を登ると、標高的には500m下って1,000m上ることになる。
体力勝負。
15時 剱沢ベースキャンプに戻って、翌日のアタックに備える。

■8月12日
雪渓の状態が悪いので、日の出をめがけて取り付くことにする。
4時15分 剱沢テント場を出発。
剱沢を下ると、すでに源次郎尾根には先行パーティのヘッドランプの灯りが見える。
5時15分 偵察の成果があり、スムーズに雪渓を渡る。取り付きで先行パーティの順番待ちとなる。
取り付きの登りは一番難しいと聞いていたが、距離は短く、残置スリングもある。念のためロープを出し、トレーニング通りのロープ一本の確保方法で抜ける。その後、源次郎尾根主稜I峰は藪漕ぎだった。
ハイマツ帯に入ると、ルートが不明瞭で松の上を歩く場面も。
トップは終始Kさんで、ルートファインディングを行ってもらう。
聞いていたとおりのⅠ峰の長さ。
ロープを出したのは結局、取り付きを含めて短いルート2回と、Ⅱ峰下降時の懸垂のみだった。
クライミングというよりは、歩きが勝負のルート。
7時50分Ⅰ峰。
Ⅰ峰とⅡ峰の間の稜線では少し高度を感じたが、あとは、終始快晴だったにも関わらず、高度感、スリルはあまりない。ひたすら歩きのバリエーションルートである。
懸垂支点は聞いていたとおり非常に頑丈そうで、残置スリングが多数あった。

先行パーティを待ち、8時半、Ⅱ峰の懸垂を終えた。あとは簡単なスラブやガレ場を本峰に向けて登るだけとなった。
10時 剱岳登頂。終始Kさん先頭で、スムーズに登った。せっかくバリエーションルートに来たのだから、自分でもルートファインディングができたらよかったと後から思ったが、結局ついていくのが精一杯だった。
雪渓で水を補給しながら、全装備を担いで登るような継続登攀には、まだまだ道のりが長いと感じた。

10時40分 別山尾根を下山開始。
渋滞に巻き込まれながら、13時40分、無事剱沢に下山した。
快晴に文句は言えないが、一日中ものすごい日差しでちょっとぐったりした。
17時頃ガスが出て、涼しくなった。
剱岳・別山の大展望が、早送りのように雲に覆われていく光景は趣深い。

■8月13日
4時 室堂に向けて、別山―立山三山経由で下山する。
この日も快晴の立山を歩きながら、4月にスキーで来た時の雪景色を思い出す。
一年のほとんどが雪に覆われるこのエリアで、三日間雲ひとつない景色の中、夏山を満喫できた幸運を実感。
早く雪が降って春にならないかな、と思う。
渋滞の雄山から一の越を経て、8時30分、室堂まで下山。

天候に恵まれたのは大きいが、やはり源次郎尾根主稜の前に、雪渓を渡れるかどうかが今回一番のポイントだったように思う。トレーニング段階で、雪渓のことはあまり気にしていなかった。現地でリーダーAさんに指示してもらった確保方法のおかげで、安全にルートに取り付くことができた。
今回の合宿では、
・目標に合わせたトレーニング計画を作ること
・雪の状態は直前まで様子をみるしかなく、現場での判断が重要である
という二点が、とても勉強になった。

(行動記録)
8月11日
8時40分 室堂
10時30分 剱御前小屋
11時10分 剱沢テント場
13時30分 源次郎尾根取付き
15時 剱沢テント場

8月12日
4時15分 剱沢テント場
5時15分 源次郎尾根取付き
7時50分 Ⅰ峰
8時20分 Ⅱ峰
10時 剱岳
13時40分 剱沢テント場

8月13日
4時 剱沢テント場
5時 別山
6時 富士ノ折立
6時40分 大汝山
7時 雄山
7時50分 一の越
8時30分 室堂