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83期Bチーム夏合宿9月 19, 2023

山行期間 令和5年8月10日(夜)~8月13日
メンバー ABE,MTM,OTK,MTM
山行地域 栂海新道
山行スタイル 縦走


台風6号と7号の影響により中止が危ぶまれましたが、その合間を縫うように好天に恵まれ、83期Bチームの夏合宿を決行しました。
 8月10日夜に大阪を立ち、道の駅「越後市振の関」にて仮眠、親不知観光ホテルの駐車場に車をデポさせていただき、タクシーで北又小屋登山口まで向いました。私たちが親不知観光ホテルの駐車場で装備を準備していると、前日に栂海新道を下山してきたという男性が声をかけてくださり、水場の状況などをお聞きすることができました。水場に関する貴重な情報もさることながら、私たちがその男性から感じたのは栂海新道の過酷さでした。見るからに疲労困憊、足取りもふらふら、私たちの不安は一気に高まりました。

8月11日6:45、北又小屋(標高6907m)より登山開始、イブリ山(標高1791m)を経て、幕営地の朝日小屋(2150m)まで登りました。共同装備と3日分の食糧に加え、今回の山行は水場が乏しく水枯れも懸念されたことから、個人装備として3リットルの水を背負っての急登でしたが、一歩ごとに汗が滴り落ちるほどでまさに暑さとの戦いでした。
 途中、休憩地点で、単独で来られた男性と話をしました。東京での銀行勤めを定年を機に退職し富山県に移住され、山登りや釣りなどを楽しんでおられるのだとか。都会の喧騒から離れるとこのような爽やかな表情になれるのだろうかとこちらも爽やかな気分になりました。

朝日小屋はかわいらしい高山植物に囲まれており、どっしりとした雪倉岳を望むことができました。北又小屋からの登山道ではそれほど多くの人とは遭遇しませんでしたが、朝日小屋のテント場は多くの登山者で賑わっていました。その多くは流行りのウルトラライトの装いで、白馬や蓮華温泉の方面からの登山者のようでした。

8月12日4:30、朝日小屋を後にし、朝日岳(標高2417m)に登頂しました。朝日岳からの360度のパノラマは息を飲む美しさでした。私自身、初めての北アルプスでしたが、自分がその頂に立っていることが誇らしく、時間を忘れてその景色に見入っていました。

少し後ろ髪を引かれつつ下山を始めると、蓮華温泉方面との分岐点「吹上のコル」に出ます。ネーミングもさることながら、吹上のコルの素晴らしさはそのロケーション。青い空と鮮やかな朝日岳への稜線、高山植物、雪渓、まさに天上の楽園と呼ぶにふさわしい場所でした。


 その快適な下山路も束の間、ここからはひたすら「登っては下る」の連続で、途中、アヤメ平や黒岩平などの潤沢な湿原に癒されつつ、黒岩山、サワガニ山を経て、12:10、幕営地である栂海山荘に到着しました。栂海山荘より先の水場は水涸れのおそれがありましたので、途中、北又ノ水場に立ち寄り十分な補給をしたことで心理的な余裕も生まれました。

 朝日小屋では相当な登山者の数でしたが、栂海山荘ではその3分の1にも満たないほどしかいませんでした。さすがにこの水場の乏しい縦走路をウルトラライト装備で歩き切るのは困難なのかもしれません。

 栂海山荘では計画の前倒しを決定しました。早く到着できたことにより十分な休息を取ることができること、メンバーの体力なども踏まえ、翌日の白鳥小屋での幕営を取りやめ、一気に親不知まで下山することとしました。これに備え、就寝も早め、翌日は2時起床としました。

8月13日3:00、栂海山荘(1592m)を出発し、4:28菊石山(1209m)、5:07下駒ヶ岳(1241m)、6:15白鳥小屋(1286m)に到着しました。気温が上昇しないうちに活動できたため暑さとの戦いは軽減できましたが、このあたりは本当にきつく個人的には最も過酷な区間でした。白鳥小屋はハシゴで屋根に上ることができ展望台となっていました。ここで見た日本海の水平線は圧倒的でおそらく栂海新道ならではの壮観なのではないかと思いました。

白鳥小屋を後にし、気持ち的には下山ムードなのですが、栂海新道はまだまだ甘くはなく、シキ割の水場を経て、坂田峠、尻高山、入道山と容赦のないアップダウン、さらに標高が下がるにつれて暑さという敵も加わります。

そして、白鳥小屋から歩くこと4時間半、とうとう親不知海岸(海抜ゼロメートル)に到達することができました。そのまま日本海にダイブといきたいところでしたが、海岸はゴロ石に波が打ち付けているリスキーな状態であったため大人判断で諦めました。
 登山靴から解放され海に足を浸していると、長い縦走路を歩き切った疲れが癒され、あ らためて達成感に満たされていきました

今回のBチーム夏合宿は、気象の影響を大きく受けつつ、山行計画における水場の重要性について身をもって知ることができました。山岳会に入らなければおそらく知ることもなかったであろう栂海新道。貴重な山行を経験させていただきましたことに改めて感謝いたします。

以上