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東天狗岳 ~卒業山行~3月 16, 2016

山行期間 2016年2月19日(金)夜~21(日)
メンバー SGY, KTYF, DTE, UDU, KRA, ASI, YMS
山行地域 八ヶ岳
山行スタイル 雪山


昨年3月から一緒に育成指導を受け、トレーニングをしてきた75期Bチーム卒業山行。
計画の山域選びからメンバー全員で相談しました。
候補としてあがった北アルプス、八ヶ岳、大峰、四国のうち、希望の多かった八ヶ岳の中で卒業山行に適当なルートを検討し、黒百合ヒュッテ泊で天狗岳を目指すことになりました。
どこへどう行くか。
行きたい、やってみたいことと、自分たちの力量の兼ね合いです。

西尾根を行くという意見もありましたが、入山者が少なく長い稜線歩きは避けたほうが無難ということになり、黒百合ヒュッテをベースに東天狗から往復で西天狗を目指すことになりました。
計画を作るにあたって、メンバーそれぞれが自分の山行という自覚のもと、計画に参加することが重要だと考えました。
Bチームの活動では、リーダーが設定した行程や内容をこなすだけで精一杯になりがちだったので、卒業山行では、全員がパーティの一員という自覚をもって計画に参加することを目標にしました。
山行内容、コース設定など、Bチーム全員で検討できたことが、卒業山行の成果の一つだったと思います。
いよいよ出発の日を向かえ、週末の天気予報は、前線を伴った南岸低気圧の通過のため、いまいちの様子。
特にアタック予定の土曜日は、午後から雨の可能性があります。

2月20日
登山口駐車場の渋の湯は、朝6時受け付け開始で車中泊厳禁とのこと、高速SAで1時間半の仮眠をとります。
睡眠不足です。
6:40 秘湯を出発、登山道に入ったとたん斜面が凍りついているのを知り、アイゼン装着。
黒百合ヒュッテを目指して卒業山行の開始です。

7:40 八方台分岐。暖冬で凍りついた沢を見ながら、樹林帯を順調に登っていきます。
足元は、雨に降られてしまった雪が氷状になった登山道です。

8:50 黒百合ヒュッテ。
天気予報によると午後から天気が荒れ、雪が雨に変わる可能性もあるので、天候が悪化しないうち、できるだけ早めにアタックしたいところです。
9:15 西天狗岳を目指して出発しました。

中山峠を過ぎ森林限界を越えるころ、次第に風が強く吹雪に。
2回の冬合宿、南アルプスでは2回とも無風快晴に恵まれたBチームも、ついに冬山らしい天候に遭遇しました。
足元の積雪も、ほぼ無雪期状態だった1月の鳳凰三山に比べて、少しは雪山らしい様子。

10:20 東天狗岳。

吹雪で視界が非常に悪く、風も強いことから、西天狗への稜線往復は諦めて、引き返します。

11:00 黒百合ヒュッテ着。
まだ時間が早いので小屋前の斜面で雪上歩行とビバーク練習、正午過ぎには切り上げて、黒百合ヒュッテに入りました。

75期Bチーム最初で最後の食事付き小屋泊です。
暖炉があって暖かい、素敵な小屋です。

この一年テント泊ばかりだったメンバーは、小屋の作法がいまいち分からず、快適さに戸惑いながらも、昼間から宴会開始。
外は吹雪が強まる中、贅沢な午後を過ごしました。

16時のラジオで天気図の練習をして、翌日もばっちり冬型であることを確認。
再度アタックするか、下山するかは、朝の天候を見て決めるということになりました。
黒百合ヒュッテはご飯も美味しく、山に来ていることを忘れそうです。
酔いが醒めたところで20:30消灯。

2月21日
再度アタックすることになり、ぎりぎりまで天気の様子を見ます。

7:30 黒百合ヒュッテを出発。前日歩いた道ですが、風はますます強く、山でよく走り出す一部のメンバーは、大興奮!!!の様子です。
でもここは雪山、走れません。
地吹雪のためトレースがあまり見えませんが、なるべく風下のトラバースルートを選んで、順調です。

8:50 東天狗。

強風のため、西天狗はまたまたお預けとなりました。

9:40 中山峠、10:10 中山展望台。

ここで空が晴れ、やっと北八ヶ岳の風景と対面、やはり全体的に雪が少ない様子の八ヶ岳でした。
12:35 渋の湯登山口。
卒業山行を無事終えました。

卒業山行の二つ目の収穫は、冬山気象の分かりやすい事例に遭遇できたことだと思います。
この週末にかけて、八ヶ岳上空では前線を伴った南岸低気圧が通過しており、通過に伴い土曜日は東の風・湿った吹雪が、夜にかけてみぞれに変わっていきました。
通過後の日曜には、西の乾いた強い風に変わり、正午にかけて急速に晴れ、空気が冷たくからっとしてきたのが分かりました。

つまり土曜日は悪化傾向の気象、なるべく早く切り上げるべき日で、日曜日は時間が遅くなるほど天気が回復し、アタック成功の確率が上がったということになります。
天気を読むということを、現場の気象条件の下で学ぶことができました。
冬山は気象条件との戦い、天候の予測による行動判断が勝敗を分けます。
今回、西天狗岳には届きませんでしたが、Bチーム最後の最後に冬山気象、「吹雪と天気読み」体験をできたので、結果的に八ヶ岳に行って正解だったと考えます。

ご指導いただいたリーダー陣、先輩方には、75期一同、感謝の意を表します。
この1年で学んだことは、各々の今後の長い山人生の礎になると思います。
1年間本当にありがとうございました。
(DTE記)

<行動記録>
2/20 渋の湯登山口6:40~黒百合ヒュッテ8:50~東天狗岳10:20~黒百合ヒュッテ11:30
2/21 黒百合ヒュッテ7:30~東天狗岳8:50~中山峠9:40~中山展望台10:10~黒百合ヒュッテ10:50~渋の湯登山口12:35