山行期間 | 2015年7月18日(土)~20(日) |
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メンバー | KWI, SGY, ABE, ITN, UZU, DTE, NKO, KRA, SKM, ASI |
山行地域 | 蓮華温泉~朝日岳 |
山行スタイル | ピークハント |
7月18日、泉州山岳会75期Bチームとして、初めての北アルプスに向かった。目的地は、後立山連峰の最北に位置する朝日岳。
後立山連峰に連なる白馬岳の知名度には及ばないが、標高は2418メートル、丸みを帯びた雄大な山並みと高山植物の豊富さが魅力的な山だ。
当初の計画では、蓮華温泉から白馬大池、白馬岳山頂を縦走し、折り返して三国境から朝日岳、蓮華温泉に下るルートを予定していた。
しかし、台風11号通過の影響で天候が落ち着かず、日程を短縮して蓮華温泉と朝日岳の往復になった
18日午前10時、リーダーとBチーム合わせてメンバー10人が車2台に分乗し、大阪を出発。名神高速から北陸道を経由し、糸井川沿いに南下。
蓮華温泉に着いたのは午後7時過ぎだった。暗闇の中で、手際よくテントを設営し、夕食の寄せ鍋を準備しながら、持ち寄った酒で乾杯した。私の大好きな瞬間だ。ITNさんのウイスキーを頂戴し、ほろ酔い気分で就寝した。
19日未明。天候はぐずついて落ち着かない。蓮華温泉から朝日岳までは、約8時間のロングコースだ。このルートは、30数年前、高校山岳部の夏合宿で、
朝日岳から下ったことがあるが、アップダウンの差が大きく結構大変だった記憶がある。
小雨の降る中、湿地帯の木道を歩いていく。雨に濡れた木道はとにかく滑りやすい。転倒したら全身泥まみれになってしまう。慎重に足を進めていく。
湿地帯を抜けると急な下り坂となり、瀬戸川に至る。雨で水量が増えており、ゴーゴーと音をたてていた。
吊り橋を渡って、さらに、尾根を一つ越える。雨は降ったり止んだりだ。
非常に蒸し暑かったが、樹林帯を抜けて白高地沢出合に至ったとき、沢で冷やされた涼風が全身にこもった熱をさっと冷ましてくれた。
蒸し暑さに辟易していたみんなの表情が明るくなった。
朝日岳への登りは、実質的には、この出合が出発点となっている。そこを出発して、しばらく樹林帯を進んでいくとカモシカ坂に至る。
そこから急登が続いて、一気に高度を上げていく。そのうち雨が止み、ガスが引くのにつれて、雪倉岳のなだらかな美しい稜線が現れた。
朝日岳は、とても色彩豊かな山だ。空の青色、雪渓の白色、ハイマツの濃緑色、山肌の褐色、色鮮やかな高山植物が織りなす景観は、まるで印象画のようだ。
花園三角点を過ぎて五輪高原を進んでいく。大小の雪渓では、軽アイゼンを装着して慎重に登っていく。
雪渓に慣れてないメンバーには、リーダーが丁寧に歩き方のアドバイスしてくれた。一歩一歩、アイゼンをしっかり効かせながら登っていく。
途中、雪渓から勢いよく流れ出す雪解け水をシェラカップですくって、ごくごく飲みほしてみる。冷たくて最高にうまい。
私にとって北アルプス登山の魅力の一つは、おいしい水を見つけることだ。だから、いつもシェラカップはザックにぶら下げ、
おいしそうな水を探しては味見している。特に雪渓の水は冷たくて美味しい。ただし、マナーの悪い登山客が雪渓を汚すことがあるので、
口にするときは、その上方に登山道や山小屋がないかと十分注意しなければならない。
五輪尾根の斜面をトラバースしながらどんどん登る。そして、朝日岳の「吹き上げのコル」と呼ばれるところから稜線に出たとき、ガスがまた濃くなりはじめた。
その稜線に沿って、朝日岳に登頂したときは、すっかりガスに覆われてしまい、期待していた後立山連峰のパノラマは見ることができなかった。早々に頂上を後にして朝日小屋に向かう。
約20分歩いて、朝日小屋のテント場に着いた。森林限界線を越えたテント場では、非常に強い風が吹くことがあるので、
テントを設営するときは、石を使って、張り綱をしっかり地面に固定した。
ちょうど、その時、チームの皆さんからサプライズで「ハッピーバースデー」の歌とプレゼントを頂いた。
プレゼントは、オレンジ色の朝日小屋のTシャツ。40歳代最後の誕生日を泉州山岳会の皆さんに、北アルプスで祝って頂いて、その温かいお気持ちへの感謝で胸が一杯になった。泉州山岳会に参加させて頂いて本当に良かったと思う。
20日未明。午前4時前にテント場を後にする。空は曇っているが天気は少しずつ回復に向かっているようだ。
メンバー各々、ヘッドランプの明かりを頼りにして、再び朝日岳頂上を目指す。
午前5時頃、山頂に立った。昨日と同じく濃いガスに覆われていて、残念ながらご来光は拝むことができなかった。
風で体を冷やすのは良くないので、早々に稜線を下っていく。吹き上げのコルを過ぎ、
五輪尾根をトラバースしているころから、ようやくガスが引き始めて、視界が開けていった。
湿気を帯びた空気から爽やかでカラッとした空気に入れ替わり、天候が本格的に回復していく。
五輪尾根の展望台に着いたころには、青空が広がっていた。白馬岳とそれに連なる山々の稜線が太陽に照らされて神々しく輝いており
、高山植物も一層、生き生きと鮮やかに見えた。メンバーみんなが美しい後立山の山並みに見惚れた。
蓮華温泉に到着したのは午前11時45分。2日間で約18時間30分を歩いたことになる。歩きごたえは十分だ。
じっくりと温泉につかって疲れを癒し、北アルプスの余韻を楽しんだ。
今回は、Bチーム初めての北アルプスだ。変化に富んだ気象の中を、みんなで一緒に安全に行動するという経験を共有できたことはとても良かったと思う。
北アルプスは、これまでBチームが経験した関西近郊の山とは大きく異なる。この山域で安全に登山を楽しむには、
合理的な装備と基本の徹底、決して無理な行動をしない、させないことが前提となるだろう。
また、天候変化に対しても、敏感に感じとり、不測の事態に対しても、合理的に対応できるように常にシュミレーションしておくことが求められる。
その点、泉州山岳会は、経験豊富なリーダー陣が多数所属し、初心者の育成に情熱を注いでいる。今後も、ここでその知識と経験をしっかり学んでいきたいと思う。
(ASI記)
<行動記録>
7/19 蓮華温泉4:00→ヒョウタン池7:50→吹上のコル12:55→朝日岳13:40~14:00→朝日小屋14:20
7/20 朝日小屋3:50→朝日岳5:05→吹上のコル5:30→青ザレ7:40→蓮華温泉11:45