山行期間 | 2012年9月7日(夜)~9日 |
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メンバー | SGY、KNS、KWI、ITN、KMR、NNK、MYG |
山行地域 | 富士山 |
山行スタイル | ピークハント |
9月8日
2ヶ月半ぶりの山行。他のメンバーについていけるか、邪魔をしないか。そんな不安でいっぱいであったものの、どうしてもこの山だけは登りたかった。3,700mの高度で自分の身に何が起こるのか?それを確かめられるのはこの山、富士山しかない。高度障害を体験せずに、その先へと繋ぐことはできないのだから。
午前6時10分、吉田口5合目より2kmほど手前の駐車場を出発。曇りのち午後より雨。前日の天気予報はみごとに外れ、見上げた視線の先には、真っ青に澄んだ青空が。登山日和だ!このまま良い天気でありますように。そう願いながら、胸を躍らせ歩き始める。緑に包まれた山腹の緩やかな登りは、まさしくハイキング気分。踏みしめた黒砂の柔らかな感触が心地いい。
6合目からのジグザグ道を登り、居並ぶ山小屋のテラスを通り抜ける頃には、足元は岩盤や岩礫へと変わってゆき、傾斜も少しずつきつくなってゆく。あいかわらず息が上がり、汗があふれ出す。それとは対照的に、リーダーのずっしりと重いザックを担ぎ、「重いです」を連呼しながらも、平然とした顔で力強く登ってゆく女性の姿が。NNKさん、あなたのパワーには感服つかまつりました。
さて、吉田口ルートもここからが本番。8合目を過ぎると、足元もザラザラとした砂礫に変わり、傾斜はさらにきつく。登れど登れど、見上げる頂上には一向に近づかず。やはり富士山はでかい。そんな中、ITNさんのゆったりしたテンポのよい歩みに導かれ、頂上を睨めつけながら本8合目、高度3,380m、僕にとって未知の高度へと突入。ITNさん、あいかわらず歩きもダンディーでした。
9合目、久須志神社の鳥居付近。本当に、ここまでかと観念しそうに。胸が重く、すぐに息がきれ足が止まってしまう。少し登っては、立ち止り息を整え、また登る。気力も弱り、ただひたすらこれを繰り返しているだけの状態。お互いにゼーゼーいいながら一緒に登りましょうと言ってくれたKMRさんや、他のメンバーの後ろ姿に元気をもらい、しがみつきながら、なんとか頂上を踏みしめることができました。久しぶりの山行にもかかわらず、ゼーゼー息も切らさずに登りきったKMRさん。さすがです。
高度約3,700m、気圧約632hPa、酸素分圧約60%の環境下で体感した、高度障害と推測される症状は、軽微な頭痛、胸の圧迫感、少しの運動での息切れ、倦怠感、顔のむくみ、のどの渇きでした。水分の補給により、かなり症状はおさまり、一泊したあとではのどの渇き以外、ほぼ症状は治まっていました。
やはり水分補給はかなり重要だと認識したところで、赤茶けた玄武岩に沈む夕日をぼーっと眺めながら、いただいた梅酒をごくごくと。至福のひと時でした。
9月9日
午前4時過ぎ。すでに山頂には日の出を待つ人の群れが。おまけに、9合目からの登り道には、ヘッドランプの明かりがぎっしり連なってゆらゆらと登ってくる。そこまでして富士山からの日の出を見たいものかと、半分呆れていたのも束の間、眼下に広がる雲海のずっと向こうから、ゆっくりと朝日が昇りゆく光景は、幻想的で、思わず唸りそうになるほどすばらしい。冬の冴えきった空を、光で満たしてゆく朝日は、もっとすばらしいとのこと。次は冬にここへ来ないではおられません。
たっぷり日の出を堪能した後は、名残惜しみながらも下山道へ。今まで経験したことのないほど快適な下山道を、一気にころころ転がるように降りてゆきました。あれだけしんどい思いをして登った山なのだから、もう少し味わいながら下りてもよかったかなとも思いますが・・・・
「富士山は万人の摂取に任せて、しかも何者にも許さない何物かをそなえて、永久に大きくそびえている」と、深田久弥は『日本百名山』の中でそう語りましたが、遠くから眺めても、その懐に入って眺めても、様々な様相で人を魅了する、能面のような不思議な魅力をもった山なのだなと感じました。
<行動時間>
9/8(土)駐車場6:10→吉田口5合目6:40→7合目8:15→本8合目10:50→吉田口頂上12:30(お鉢巡り)→富士山最高峰13:50→吉田口頂上14:50
9/9(日)吉田口頂上5:25→8合目5:50→吉田口5合目8:00