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信濃俣河内15/09/26

山行期間 2015年9月20日~23日
メンバー KTY(F),KTY(M)
山行地域 南アルプス 大井川 信濃俣河内
山行スタイル 沢登り


いつもなら忍耐の時間でしかないハイマツの藪漕ぎが、妙に楽しかった。長かった沢旅も、ようやくフィナーレだ。

南アルプスの大動脈にたとえられる大井川。その支流の一つ、信濃俣河内(しなのまたがっち)を遡行した。スケールの大きな沢だ。いくつものゴルジュを越えていく、沢の醍醐味があった。ただ、水量が豊富だったため、徒渉には苦労した。

9月20日に、畑薙第一ダムから入山し、信濃俣林道を経て入渓。しばらくは川原歩き。深い徒渉の繰り返しにくたびれた頃、三俣に到着し、ビバーク。21日は、第一、第二廊下を過ぎ、第三廊下あたりでビバーク。22日は、源流を抜けて稜線に達し、茶臼岳を経て横窪沢小屋まで。22日に、畑薙第一ダムへ下山した。

信濃俣河内概念図

9月21日 晴れ
朝一でのゴルジュはつらい。入り口からして、へつりが手強そうに思ったので、左岸を巻く。高く巻きすぎたのだろうか、時間をかけてしまった。後続の3人パーティが、汀に沿ってへつっていくのが足元に見えた。小滝を避けて右岸を巻くと、樹林の中に平坦地があった。どうやらこのあたりで第一廊下が終了したらしく、このあとはしばらく穏やかだった。

第二廊下は、突然はじまった。流心が岩を抉ってU字形の深い溝となっている。その両壁はツルツルのスラブだし、たとえそこを突破したとしても、その先にも激流が渦を巻いている。とても進める気がせず、高巻きを選択。ここで、大きな失敗をした。ほんの少し戻ってから巻けば良かったのに、それを面倒に思って目の前のルンゼに取り付いたのが間違いの元だった。思った以上に脆く、切り抜けて仕切り直すのに時間を空費した。

この反省から、いったん下流に戻り、最も素直そうな斜面から登ることにした。そして、中途半端に近道をせず、尾根を上がるだけ上がって、安定してトラバースできる位置を選んだ。獣道を拾って下りに転じ、最後は左岸の支流(ルンゼ)から沢へ戻った。そこは、ちょうど第二廊下の出口だった。出口から覗く第二廊下(写真)は、陰鬱で、よっぽど水量の減ったときでないと通過するのは気持ち悪かろうと思った。

第二廊下の出口

ヨモギ沢出合を過ぎて少し進むと、小さなゴルジュがいくつも連続するようになった。このあたりを第三廊下と呼ぶのだろう。人によって第三廊下の指し示す位置が異なることも、頷ける。また、このあたりから、徐々に滝の規模が大きくなってきた。いきおい、高巻きが大きくなる。いくつか連続する滝を一気に巻いてしまいたかったが、うっかり現在地の把握に自信をなくしてしまった。焦ったまま行動してもろくなことがない。「急がば回れ」と自分に言い聞かせ、本日はビバークとする。

午後はとても腹が減り、空腹に耐えての行動だった。夕食は、ドライカレーの予定を変更し、麻婆春雨にした。レトルトなので油がたっぷり、それが腹に染みこむようで、実に良かった。

9月22日 晴れ時々曇り
昨夕はガスが湧いて心配したが、今のところ大きく崩れるでもなさそうだ。さて、本日はどこまで行けるだろうか。

しばらく様子をみながら、右岸を巻き続ける。ひたすら高い方をめざしていたら、相方が、「ここ降りれそう」と言う。降りれるうちに降りる方が得策かも。獣道に沿って下ると、うまい具合に滝の上に出た。

次第に晴れてきた。さらに、谷が広がることによって頭上の梢から光が射し込み、明るくなってきた。気持ちいい一時だ。

西沢出合を通過する頃には、さすがに水量は減った。しかし、逆に傾斜が強くなり、そして滝も増えてきた。大半の滝は直登できるのが楽しい。ただ、濡れたホールドでの登攀が増える。念のためハーケンを打ったら、岩が崩壊して、結局ノーピンで登る一幕もあった。滝の上にかかる倒木でアンカーを作るとホッとした。

だいぶ源流らしくなってきたな・・・・と、朝から何度思ったことか。そう思ってからが長い。緊張が休まらず、気が参ってしまった。だが、それでも終わりはやってくる。水流が切れる直前に水を補給し、やがてダケカンバの疎林帯に突入した。最短距離で稜線に抜けたいので、方向を決めてまっすぐ高い方をめざした。

予定通り、仁田岳の北のコルに飛び出した。茶臼岳へと急ぐ道すがら、登山道のありがたみをかみしめた。

茶臼岳

 

<行動時間>
9/20 6:50 畑薙第一ダム→7:55 吊り橋→12:00 西河内出合→14:30 三俣BV
9/21 6:50 BV点→11:10 オリタチ沢出合→14:00 第二廊下終了→16:30 第三廊下途中BV
9/22 6:45 BV点→9:00 西沢出合→13:30 水流切れる→14:35~15:00 稜線→15:45 茶臼岳→16:10 茶臼小屋→17:10 横窪沢小屋BV
9/23  5:30 BV点→6:20 ウソッコ沢小屋→7:30 畑薙大吊り橋→9:00 畑薙第一ダム