アルパインクライミングを目指す泉州山岳会へようこそ! 大阪府山岳連盟所属

ホームリンクサイトマップ
入会募集中
泉州山岳会とは山行記録イベント

会員限定

山行スケジュール役立つ資料の共有EPE

夏合宿(剱岳剱尾根/チンネ左稜線)13/08/31

山行期間 2013年08月13日(夜)~08月18日
メンバー CL小門、SL本田、寺西
山行地域 剱岳剱尾根/チンネ左稜線
山行スタイル アルパインクライミング


平成25年8月14日(水)晴れ

○アプローチ

●初日は池ノ谷二俣までしか行けない為、08:00ゆっくり馬場島を出発。タカノスワリを高巻きし、雷岩にて渡渉。水量は少なく、深いところでも膝下程度。

【馬場島より高巻きへの砂利道】   【高巻き入口にて】

【高巻き道にて】          【雷岩の渡渉】

 

●白萩川左岸からは踏跡を頼りに小窓尾根乗越まで急登を登る。想定していた程、ブヨはいなかった。

【小窓尾根乗越までは急登が続く】  【小窓尾根乗越にて剱尾根が見える】

 

●池ノ谷(約1,500m)に降りると、HSMパーティーが既に到着していた。雪渓が多く、池ノ谷二俣周辺で幕営できないとのことである。最低限の装備を持って、二俣と翌日の取付R10の偵察に向かう。一時間程雪渓を詰めると、二俣に到着。確かに雪渓が多く、平坦な場所も水場も無い。翌日の行程を考えると、少しでも高度を上げてツェルトを設営したいが、致し方ない。事前情報ではR10の取付がややこしいとのことであったため、そのまま、池ノ谷左俣を詰める。

【池ノ谷を詰める】         【池ノ谷左俣を詰める】

 

●池ノ谷二俣から約一時間。所見でもこれぞR10(約2,180m)とわかる程、顕著なルンゼでかろうじてコルEが見えていた。翌日は早朝出発の為、急いで、池ノ谷(約1,500m)まで戻り、就寝とした。

【R10取付にて】          【池ノ谷まで下降】

平成25年8月15日(木)晴れ一時雨

○剱尾根下部

●02:00起き03:10出発。各自3Lの水を担ぎ、R10を目指す。R10取付で一抹の不安を覚え、0.5Lだけ雪渓の雪を追加することにした。

【R10を目指す】                【雪渓からR10へ移る】

 

●R10のルンゼはガレ場で落石に注意しながら登る。コルEは1,2人がかろうじて立てる程のスペースしかなく、幕営不可である。なお、右俣側に踏跡があったため下降したが、こちらのルートは間違いで、痩せた尾根をほぼ尾根通しに登る。踏跡を頼りにハイマツの藪漕ぎの急登が続くが、重いザックが苦しい。

【R10のルンゼにて】              【ハイマツの藪漕ぎ】

 

●コルDから20m程、3級程度のフェースが現れ、初めてザイルを出す。その後もハイマツの急登と数箇所の岩を突破し、コルCに到着。岩と岩に挟まれた小さなコルで2,3人が立てる程のスペースしかないが、右俣側に一段降りたところに一張り程度のスペースがあった。時刻は既に12:00。取付より6時間30分もかかっている。

【コルDより上部岩壁を望む】    【藪漕ぎが続く】

【『門』が近づいてきた】      【Ⅱ峰周辺にて】

 

●コルCでクライミングシューズに履き替え、第一の核心部、アブミトラバースの岩壁を本田氏リードで登攀。ガスが立ち込めたかと思うと急に雨が降り始め、嫌らしいクライミングとなった。

【コルCにて】           【アブミトラバース岩壁をリードする】

 

●その後120m程ハイマツ混じりの尾根を登るとテン場適地があり、剱尾根最大の核心部、『門』が姿を現す。時刻は既に14:30になろうかというところであった。

ここで大きな決断をすることにした。

・時刻から見て、このまま前進すると明るい内に北方稜線に立つことはできない。

・雨の後の濡れた壁を登攀することになる。

・昼の暑い時間帯に行動し、無駄に水を消費する恐れもある。

・コルBにテン場適地があるかもしれないが、コルCの状況からするとあまり快適なテン場であるとは考えられない。

・幸いにも水は各自2.5L残っている。

・本日の実績から考えると、最低でも1Lあれば、翌日の行動は可能で、朝夕の食事の水を考慮しても沈殿は可能。

・また、予想天気図から考えても、翌日の天候は安定しており、行動可能。

時刻的にはまだ、早いが不確定要素の多い前進より沈殿という選択をし、早々に就寝とした。

【R6のコル手前でB.V】

平成25年8月16日(金)晴れ

○剱尾根上部

●ツェルト内で明るくなるのを待ち、04:50テン場を出発した。『門』のルートは3通りあるが、真ん中の左上に伸びるクラックラインを選択し、小門リードで登攀。

【奇岩の『門』】          【クラックラインをリードする】

 

●最初の数mだけ、アブミを掛けて直上すると、後は3級程度の簡単なルートを左上する。終了点よりスラブとルンゼを抜けるとドームに到着。

【『門』終了点より】        【スラブ】

 

●ドームから下降するとコルBに到着。こちらもコルC同様、岩と岩に挟まれた1,2人がかろうじて立てる程のスペースしかない。一段下りたところが幕営可能であるが、上からの落石が気持ち悪い。

【ドーム手前にて小窓の王を望む】        【ドームにて剱尾根上半部を望む】

 

●コルBからは3級程度の岩壁であるので、ビブラムで登攀するが途中、ルートを見失い、フラットソールに履き替える。トラバースの後のチムニーは寺西氏リードで突破する。

【コルBより】           【チムニーをリードする】

【チムニーを越えて】              【剱尾根の頭手前の岩稜帯】

 

●ハイマツ混じりの岩稜をところどころビレーしながら行くと剱尾根の頭に到着。コルまでのトラバースも微妙に嫌らしくビレーしながら突破。

【剱尾根の頭】           【最後のトラバース】

 

●長次郎の頭に着くと念願の北方稜線が見え、雪渓の雪でキンキンに冷えた水を流し込む。あとは三ノ窓まで下降するだけだ。

【北方稜線にてⅥ峰フェースを望む】       【冷水を流し込む】

 

●池ノ谷乗越周辺でNSNパーティーに会う。今日中に長次郎のコルまで行くとのこと。池ノ谷ガリーはいつものごとく落石の巣窟で上からの落石と足場の崩壊に気を付けながら下降する。三ノ窓に到着し、各自、ツェルト設営や水の補給、翌日の偵察を行う。翌日の晴天を祈り、早々に就寝とした。

【NSNパーティー】               【池ノ谷ガリーを下る】

平成25年8月17日(土)晴れ

○チンネ左稜線

●アタック装備でまだ暗い内に出発し、左稜線取付まで雪渓をトラバースぎみに下降する。アイゼンのみでも可能であるが、取付周辺は少し傾斜があるため、ハンマーのみの小門はアンザイレンし、コンテで下降する。取付点は偵察で確認した雪渓がつながった箇所より壁に移る。

【雪渓を下降する】         【1ピッチ目取付にて】

 

●1ピッチ目の左側凹角ラインをノーザイルで登るとテラスに到着。ここでアンザイレンし、寺西氏リードで登攀。

【テラスより】           【2ピッチ目中間地点】

【2ピッチ目中間地点より三ノ窓を望む】     【3ピッチ目をリードする】

 

●原則、寺西氏でリードの予定であったが、後続より2party上がってきたため、ピナクル手前で本田氏に切替える。

【5ピッチ目リッジより上部を望む】 【6ピッチ目をリードする】

【空へと伸びる左稜線上部】     【すぐ左にはクレオパトラ・ニードルの優美】

 

●核心部のT5のⅤ級小ハングまで本田氏リードで突破し、最終4ピッチは小門と寺西氏でリード。空へと伸びる左稜線は最高であった。

【9ピッチ目核心部をリードする】  【11ピッチ目をリードする】    【高度感も抜群】

【最終ピッチをリードする】     【八ッ峰ⅤⅥのコルへのショートカットルート】

【チンネの頭にて記念撮影】           【チンネの頭にて『すじ雲』が美しい】

 

●下降はチンネの頭と三ノ窓の頭のコルまで徒歩でクライムダウンすると、池ノ谷ガリー側に懸垂の支点があった。懸垂は全2ピッチであるが、触れると落石しそうな1mはあろうかという岩が散らばっているガレ場を慎重に下降する。次の支点は落石が起きても、当たらない箇所にあったが、後続partyが待機しているので、気が気でない。また、ザイルダウンする時も、途中で回収不能にならぬ様、兎に角、祈った。後続partyは私がザイルを回収してから2分後に下降すると約束していたので、最速でザイルを回収し、すぐさま、安全地帯に逃げ込んだ。

【池ノ谷ガリー側へ懸垂】      【安全地帯まで急ぐ】

 

●この時点で12:40である。この時刻であれば、本峰経由で早月の小屋まで行ける。重たいガチャ類を池ノ谷ガリーの懸垂地点周辺にデポし、急いで、三ノ窓まで戻る。三ノ窓で装備を回収すると、また、池ノ谷ガリーの懸垂地点周辺まで引き返した。デポしたガチャ類を回収し、取りあえずの安全地帯、池ノ谷乗越に到着。雪をポリタンに詰め、本峰に向け北方稜線を南下した。

【懸垂したガレ場を望む】      【北方稜線を南下】

 

●16:15剱岳に到着。今回の合宿もなかなかハードであった。後は一般道をひた走り、19:15早月小屋に到着。

【剱岳本峰にて】                【一般道をひた走る】

平成25年8月18日(日)晴れ

○下山

●温泉の営業時間に合わせて、早月小屋を出発。北アルプス三大急登のひとつ早月尾根を下山。頭の中は「すし玉」の寿司だけだ。

【早月小屋を出発】               【北アルプス三大急登を下降】

 

●『試練と憧れ』の石碑前で記念撮影し、馬場島を後にした。

【試練と憧れ】

(小門 記)

【行動記録】
08/13 南海三国ヶ丘駅集合 離阪(/21:00)
08/14 馬場島(/08:00)→雷岩右岸(10:00/)→渡渉→雷岩左岸(/10:50)→小窓尾根乗越1,600m(12:20/12:30)→池ノ谷1,500m B.V(13:00/)→偵察(13:30/17:00)
08/15 池ノ谷1,500m(/03:10)→池ノ谷二俣過ぎ1,880m(04:20/04:30)→R10取付(05:30/05:35)→コルE(06:30/07:00)→コルD(07:55/08:10)→Ⅱ峰手前(09:40/10:00)→コルC(12:00/12:30)→トラバース岩壁終了点(14:00/)→R6のコル手前2,585m B.V(14:30/)
08/16 R6のコル手前2,585m(/04:50)→『門』取付(05:00/05:30)→『門』終了点(06:30/)→2,650m(07:00/07:30)→ドーム(07:40/)→コルB(08:00/08:15)→チムニー終了点付近(10:45/11:10)→剱尾根の頭と長次郎の頭のコル(13:10/13:30)→三ノ窓B.V(15:15/)→偵察
08/17 三ノ窓(/04:30)→左稜線取付(04:45/05:00)→チンネの頭(10:30/11:20)→チンネの頭と三ノ窓の頭のコル(11:25/11:40)→懸垂→池ノ谷ガリー(12:40/12:50)→三ノ窓(13:15/13:30)→池ノ谷乗越(14:30/14:45)→剱岳(16:15/16:45)→早月小屋B.V(19:15/)
08/18 早月小屋(/06:15)→馬場島(09:15/)