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憧れの瑞牆ベルジュエール25/10/13

山行期間 10/9(夜)~10/10
メンバー Dte,YMO
山行地域 瑞牆山
山行スタイル マルチピッチクライミング


瑞牆山 十一面正面壁 「ベルジュエール」。

国内を代表するマルチピッチの一つと言われる名ルート。

死ぬまでには絶対に行きたいと思っていた憧れのルートだった。

でも5.11台、しかもクラック要素のあるマルチに行くなんて夢のまた夢だと思っていた。

 

様々な技術が求められるこの素晴らしいルートを、入会から4年間の集大成として行ってきました。

 

以下、記録

 

天気の関係で1日早く出発することになったのだが、バイトがあったため大阪出発は24時になってしまった。

 

10/10

瑞牆の駐車場に朝06:30到着。翌日に延期することも考えたが、天気予報が悪かったためそのまま強行。

仮眠なしで07:00駐車場を出発した。

 

今年のGWに「山河微笑」に行っていたため、アプローチは迷うことなく1時間ほどの歩きで08:00に取りつき到着。

数か月前、見上げるだけだったコイツを今から登るんだと思うと、緊張した。

09:00登攀開始。

 

「ベルジュエール」10p/5.11b

1p目 5.11b

いきなり核心ピッチ。内容は垂直・スラブ系のボルトルート。

大人気ルートだけあり、このピッチだけでも星がつけられるような楽しい内容だった。核心が複数あり、初めから最後まで気が抜けない。

ボルトは新しくきれいで、間隔も良心的なため安心してクライミングに集中できる。

苦手なスラブ系だったが、落ち着いて一撃することができた。これほどうれしいことはない。

フォローのDteさん。荷物を持っていただいているので要所で1/3システムによる補助などもしながら。

今日は長いので。体力温存。

 

2p目 5.10a

1p目を登ることが出来れば、あとは5.10台前半に落ち着く。

だが、油断してはいけない。2p目は精神的核心ピッチ。

小ハング下のスラブをトラバースしていく。

核心部の支点は半分しか刺さっていない、下向きのハーケンで非常に緊張する。

ハング下の細いクラックにチョーク跡が残っており、他のクライマーたちが苦しめられていたのがうかがえた。

でもいくら探ってもムダですよ。指なんてほとんど入らないんだから。

 

このピッチも最後まで気が抜けない。支点のせいかグレードはかなり辛く感じた。

 

ちなみに下向きハーケンは落ちれば間違いなく抜けると思いきや、何人もの墜落を止めている伝説のハーケンらしい。

選ばれし人間にしか抜けないんだろう。(抜けたらあかんけど)

 

3p目 5.8

Dteさんリード。

スラブ系の短いピッチ。2p目とつなげて登られることが多い。

朝一で緊張した様子だったが、しっかりOS。終了点は立木。

3p目をリードするDteさんとその後ろで「泉」5.12d Rの核心ピッチをリハーサルをするクライマー。

ここは魔境です。

 

4p目 5.9

40mと長いピッチ。とはいっても下半部はほぼ階段。

上半部は写真の左壁に走るワイドハンド~オフフィンガーサイズを登って、「シロクマのコル」にでる。

核心部は傾斜が強く、ふつうに悪い。

 

シロクマのコルからは歩いて下山できる。途中敗退はここから。

だが、もちろん進む。夜間登攀でも雨中登攀でも絶対、完登してやる。

 

コルからは次に登る5ピッチ目が見える。

ベルジュエールといえばこれ。ベルジュ5p目にあたる有名な「大フレーク」。

そしてその左に走る「アレアレア(10p/5.12b)」と、さらに左には「千日の瑠璃(7p/5.14a R/X)」。

実在してたのか...。と思うほど遠い存在な課題たちが今、目の前に。やはり瑞牆は魔境。

 

5p目 5.10a

ベルジュエールのハイライト、「大フレーク」。

ワイド登りとレイバックで登る。このピッチのために5番カム1個を持って行ったが、4番2個あるならいらなかった。

どちらにせよ上部はランナウトする。ここはグレード通りに感じた。楽しい。

 

6p目

7p目のチムニー基部まで簡単なトラバース。

 

7p目 5.8

精神的核心ピッチその2。ほぼノープロのチムニー。

意味のない低いところにあるリングボルトが有名。いちおうクリップしたが、意味はない。

上部のCS越えが核心。

 

8p目 5.10b

カタカナの「イ」を逆にしたような形から「逆イの字クラック」と呼ばれている。

短いチムニーを登った後、悪いスラブを登って逆イの字の部分にとりつく。

核心部はしっかりムーブがあり面白い。が、これまでの登攀で消耗していたようで、かなり必死だった。

強引に登ってしまった。

 

9p目

ほぼ歩き。「肩の広場」まで登って終了。もう山頂が見える。

 

10p目 5.8

最終ピッチ。Dteさんがトライ。

グレードは低いが、出だしがかぶり気味でワンポイントの強度が高い。

そのあとカムを足元にして一箇所悪いスラブをこなすと、山頂にでる。

ここまでの疲れもあった中で、見事OS。すんなり登られていたが、フォローしてみるとふつうに悪かった。

ナイストライ!!

 

 

16:30、トップアウト。三畳ほどの山頂につくと眼下には雲海が広がっていた。

 

富士山と小ヤスリと雲海。ここは天国か?

 

満足するまで写真をとったり、完登の余韻にひたった。日没が迫っていたが、わりとだらだらしてしまった。

 

17:00前、下山開始。

山頂の支点から10mほど懸垂し、肩の広場に降りる。

が、回収時にロープをスタックさせてしまったので、もう一度10p目を登る羽目になった。

回収時、上向きのクラックにはまるので、勢いよく引っ張るほうがよい。

 

肩の広場からは歩きだが、落ちたらアウトなので慎重に。

樹林帯に入ったところで、ヘッデン行動となった。

巨岩のトンネルを潜り抜けると、複数回のfixロープの懸垂と歩きで急なルンゼを下る。

暗闇とガスで戻れるか不安だったが、見覚えのある2つの岩屋に合流でき、それを頼りに18:30頃取りつきに戻ってこれた。アプローチや下山は「瑞牆クライミングガイド」要参照。

駐車場に20時頃下山。

 

二日目はよれよれでモツランド、三日目は調和の幻想に行きました。

長くなるので、とりあえず割愛。

 

二人ともリードは全ピッチ一撃で登れた。大きなトラブルもなく、各々が全力を出し切れた大成功の山行だったと思います。

また、ベルジュエールはそれぞれのピッチの内容、質、ロケーション、どれをとっても最高だった。

次の憧れのために名張や蝙蝠で修行して、またこの最高の岩場に戻ってきたいと思います。

 

ありがとうございました。

 

使用ギア

シングルロープ70m(60mで可)、カム#o.2、#0.3~4×2、#5、クイックドロー×8、アルパインヌンチャク数本、グリグリ、ルベルソ、ナノトラクションなど。

 

ちなみに今回の登攀時間は7時間半。本気の必死で登って7時間半かかった。

だけど某アルパインクライマーペアは同時登攀によりたった20分で完登したらしい。

ほんとうに同じ人間か?