山行期間 | 22023.12.30~1.3 |
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メンバー | MTR、STR.TNK |
12月29日 21時三国ヶ丘駅からTNK号で出発。
車内にて「二日目の31日の天候が悪く行動出来そうにないからチンデンして1月1日にアタックで行けるとこまで行って下りてくるになりそう。ご了承ください。」と残念な報告をする。「なのでお酒を買い込んで行きましょう。」って感じで新穂高温泉にAM3:00到着。車内で仮眠。
12月30日 6時半起床7時半出発
夜明け前からの出発。しばらく歩くと明くなり風もなくいい天気になる。明日は雨の予報なので槍平小屋でチンデンするか西尾根を少し上がってBVするか迷いながら歩く。
11:30西尾根取付きに到着。天気もいいので諦めてらず上に進むことにした。珍しくトレースがあった。そのトレースづたいに藪漕ぎして登る。
15:00 1日目のBV予定の2130地点に到着。テント1張りあり「トレースつかわしてもらいました。ありがとうございました。どこかの山岳会の方ですか。」お礼ついでに尋ねてみた。「東京大学のスキー山岳部です。」「凄いですねー。明日はどうするんですか。」「チンデンするか1600地点まで登るか検討中です。」
「そうですか。我々も元日に南岳山荘に到着出来なかったら撤退と考えてるので明日少しでも高度を上げればと思ってます。」などと、やり取りをして我々も少し上がったところに幕営をする。ヤマテンで天気の確認をすると朝は雨、お昼前後に天気が回復するが午後からは次第に冬型が強まっていき荒れるとのこと。とりあえずAM8時くらいに起きて出発準備をするという計画にした。諦めかけていたものが俄然やる気に火が付いた。そして、多めに買ったお酒をかたづけて寝る。
12月31日 夜中から天気を気にしていた。夜はずっと雪が降っていたが5時ごろからみぞれっぽい雨にかわった。7時半雨の音がピッタっと止まった。「起きろ。雨がやんだ準備していくぞ。」予想より早い回復に喜んだ。9時に出発準備が整った。以前よりかなり早く用意が出来る様になった。かなり動きがいい感じになってる。
雪が昨日よりかなり積もっている。ワカンを付けて出発。デルタ岩壁まで高度200ⅿくらいで2時間くらいで行けるだろうと思ってが、かなりきついラッセルでデルタ岩壁の取付き手前までで3時間かかってしまって取付きが見えてきたがかなり険しくなかなか上がれない。あたふたしてると、天気がガラッと明らかな冬型に変わってきた。「残念、タイムアウト。戻ろう。」下りは危ないのでロープを出して懸垂で降りる。最初に下りたSTRが「ここなら整地したら幕営できそうですよ。」ということでやってみた。かなり整地してギリギリ張れた。超ラッキーだ。戻らなくて済むし何より成功する可能性を残せたという喜び。ヤマテンで天気を確認すると元旦は明け方くらいまでは吹雪だがその後、風もなく快晴。2日も快晴。でも風速15~17ⅿとのこと。これなら行ける。このまま続行の決断をしてSTRの作った年越しそばと残りのお酒で年越し宴会して寝る。
1月1日元日 5時起「
「明けましておめでとうございます。」「えっ。あっ、はい。」そっけない年明けの挨拶をしながら朝食と準備を行い6時過ぎにテントから出てテント撤収。かなり吹雪いている。何故かSTRが焦ってる。どうしたのかと尋ねるとハーネスが凍ってしまって装着できないらしい。「チェストハーネスだけでいいですか。」「アカン。装着できないなら上がれない。撤退や。テントの中で装着しろと言ったのに」「バタバタしてたんでつけずに出てしまいました。」と、必死にカチカチのハーネスを装着しようとしているがまったくビクともしない。修理具のプライヤーを使って3人がかりで何とか装着できた。すると今度は私がテントの中でミトンを濡らしてしまってたのでカチカチに凍ってしまい指が痛くて我慢できなくなる。STRが予備のミトンを持っていたので借りるが、痛さはおさまらない。なんとか6:40くらいに準備が出来たころ東大パーティーがやってきた。「おはようございます。トレースありがとうございました。」「おはようございます。何時出発したんですか。」「4:30です。」さすがだ。その時間もかなりの吹雪でしかも昨日よりもかなり積雪が増えてるのに二時間でここまで来たのか。二人はスイスイと取付きに向かって登っていく。われわれもアイゼンを装着してあとを追いかける。取付きに到着すると東大パーティーが登ろうとしてるとこで45分ほど待機となる。先ほどまでの吹雪がピッタっと止まりほぼ無風の快晴になる。東大パーティーのセカンドが出発。我々も最初の核心であるデルタ岩壁登攀開始。指が痛いのでSTR様にリードを変わってもらう。これぐらいならSTRなら楽勝かと思ったが、後で聞くと、まだ経験が少ないからか「かなり難しかったと。」とのこと。2番手で私、タイブロックで登る。そして、最後にTNKが登り終わったのが9:00ごろ。東大パーティーは、もう1Pロープを出したみたいだが、「これくらいロープいらんやろ。」と二人の了承をもらい時間短縮のためザイル無しで登る。デルタ岩壁を登ったあたりが森林限界で雪だけの尾根になる。2時間ほど登ると第2の核心【ナイフリッジ】に到着。東大パーティーのセカンドがスタートするとこだった。我々もロープを出し準備を始める。幸いトレースは出来てるが気は抜けない。事前の雪山トレでナイフリッジの想定をしてトレーニングしたので1P目はSTRに任せる。無事渡り東大パーティーと同じ場所にスノーバーでセルフを取り腰がらみでビレイ。 TNKが2番手、最後に私。2P目は私がリード。ナイフリッジを渡りきりハイ松でセルフを取り2番手Booが終了。腰がらみでSTRを引き上げ12:00完了。
ここからあと高度300ⅿほど尾根づたいに上るだけだ。間違いなく南岳小屋の到着が確信となった。この山行の大成功が見えてきた。しかし高度があげると空気が薄い、みんな辛そうだ。東大パーティーに追いつくことなく、
15:30南岳小屋到着。小屋に入ってしばらくすると東大パーティーのスマホが【地震がきます地震がきます。】と鳴りだす。何かな?と思ったら揺れだした。「かなりおっきいぞ。」誰かが叫ぶ。幸い問題なかった。夕食を取りながら「明日は6:30出発し日の出を見ながら槍に行こう」とまだ残っていたお酒で大成功の前祝をして就寝。
1月2日5時起床
昨夜からかなり風が強くなり鉄の扉がバタバタ音を立てていた。朝食を済ませて準備をしていると6:00準備をした東大パーティーが出発。1分もしないうちに戻ってきた。「軽く風速20ⅿ以上の突風で絶対行動不可能です。」と言って昼過ぎまで待機すると。我々も一応準備を済ませると外に出てみたが、すごい風で吹雪となって、快晴のようだがそれもよくわからないくらいだ。すごい吹雪が体を叩きつける。台風以上だ。絶対行動不可能だと確信できた。ってことで待機する。お湯を沸かして一息する。10時くらいにもう一度出で見たが変わりなく吹き荒れている。「仕方ない。もう槍は諦めて大喰岳から下山にします。脱出することに集中します。」二人とも納得する。大喰岳から登山道まで下山に5時間と考えて12:30までには出発しないといけないだろう。13:00まったく風が全く弱くならない。今日はこのままチンデンの決定を二人につげる。東大パーティーは14時から出発した。大喰西尾根から下山するとのこと。風は少しマシにはなってるがまだ風速20ⅿくらいはあるだろう、西尾根をヘッテンで降りるのは我々には危なくて無理だろう。16:30小屋の中は電波が届かないので、吹雪の中3人で電波をひらいに外へ出る。地震で心配してるかもしれないので家族に1日帰宅が遅れる事を連絡する。山岳会にも予備日を使うことを伝える。そしてヤマテンの天気予報を取得する。取得した予報では1/3は、午前天気は霧、風速17ⅿ昼からは吹雪。1/4は猛吹雪。【脱出チャンスは明日の午前中しかない。】霧かぁ。本当に風速17ⅿですむのかぁ。かなり不安になる。でもやるしかない。それぞれ予備食を食べて就寝。
1月3日5時起床
風の音は昨日より間違いなく弱くなっている。少し安心しながら朝食をとり準備をする。外に出ると曇っているが霧はない、中崎尾根にはびっしり霧がかかっていた。風速も予報通り17ⅿくらいだろう。これなら行ける。気合を入れて出発。目標は無事に生還すること。3人離れずに歩くようにと指示。まずは直ぐ脇の南岳登頂。そして中岳へ。中岳の手前で風よけできる場所があったので休憩をとるとちょうど日の出となった。思わず「めっちゃ楽しいなぁ。」と呼びかけるが、あまり楽しくなさそうでうなずかない。個人的には最高に楽しい稜線歩きなのだが、新人には必死のようだ。
風も徐々に弱まってきた中岳に到着。雪の状態では、ロープを出して懸垂しないといけないのだが、ハシゴが見えた。何とかロープ無しで降りれた。
そして12:00ごろ大喰岳到着。ホッとする。すぐ先に槍が見える。残念ながら今回はここまで。西尾根を下山13:30宝の木まで無事下山。そこから3回ほど休憩を入れて17:00ごろ無事駐車場に下山。「無事帰れてよかった~。」
新人2人つれて無理させてしまったかと反省も
しましたが、まぁ山ってこんなもんでしょ。
二人とも厳しいトレーニングをよく頑張ってくれたお陰でいい冬合宿になりました。
本当に楽しい5日間でした。。
ありがとうございました。
春合宿も頑張りましょう!