山行期間 | 2023年9月1日~2日 |
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メンバー | YMZ(CL)、ABE(SL)、YMO |
山行地域 | 穂高岳 |
山行スタイル | アルパインクライミング |
今年の5月にあった慰霊の日に、OB会員の方と先輩の現役会員の方から、屛風岩を勧められ調べてみると、フリーで登れるとの記録があったので、6月にメンバーに相談して計画することになった。
全体的なグレードは高くないが、3P目が11cのグレードがついている。元々、人工登攀のピッチなので、どうにも登れない場合や時間が掛かりそうなら、アブミ使用すれば抜けることができる。
7月からメンバー全員でのトレーニングを開始。人工登攀もあるので、アブミのトレーニングも行った。真夏の百丈岩2日、堡塁岩、烏帽子・駒形岩、雪彦山、計5日間トレーニングを行った。
当初の計画では、初日は横尾でベースを張ってT4尾根取付きまで偵察に行き、翌日に登攀して同ルートを懸垂下降して横尾に帰ってくる予定だった。約1週間前に、会長とたまたま同じ電車に乗合すことがあり、「初日にT4尾根を登攀して、テラスにビバーグが良いのではないか?」とアドバイスを受けた。確かに登攀には一番良い季節だし、1番に取付かないと時間切れになる可能性もあった。メンバーと相談して、初日にT4尾根登攀後にテラスでビバーグする計画に変更した。
9月1日あかんだな駐車場始発のバスで上高地に入る。上高地から明神館、徳沢、横尾まで平坦な道を歩いていく。横尾で水を汲み岩小屋跡の渡渉ポイントまで登山道を歩いていく。渡渉ポイントで屛風岩方向の写真を撮っている人がいた。どちらに行かれるか尋ねたところ、屏風岩とのことで先を急がねばと思い、少し速足で歩きだす。渡渉は水量も幸い少なかった。
1ルンゼ押出を登っていく。天気も良く暑い。横尾から1時間15分程度でT4尾根に到着。
T4尾根はABEさんリード。リードは空身作戦。YMZとYMOで荷物を振り分ける。水とテントをもらったが、自分の分を入れて水6リットルが重くのしかかる。
1P 4級
しっかりとクライミング。ホールドはよく探せばしっかりある感じだった。ABEさんは気持ち良さそうにロープを伸ばしていきます。
2P 5級-
出だしが少し被り気味だが、ここもしっかりとホールドがある。凹角のクラックを登っていく。ここも問題なくABEさんは登攀されていた。
3、4Pはほとんど歩きだった。草付きで濡れていたら怖いと感じた。
13:45にT4テラスに到着後、テントを張ってYMZが1P目にフィックスを張った。5.7であるが、最後岩が脆いので少し緊張した。登攀後に後続のパーティが1組来られた。下で話しかけたパーティだった。関西からということもあり顔見知りの方々だった。翌朝、4時起床、5時登攀開始にして就寝する。
5時 1P目登攀開始(YMZリード)。
2P 5.9のグレードだが、出足かなり細かいホールドを繋いで登る。グレード以上の緊張感があった。
3P 11c 核心ピッチ。2ピン目のRCCにクリップして少し上がった所でフォール・・・。噂通り難しい。残念でした。同日に大阪に帰りたかったので、人工登攀に切り替えて3Pを登る。1か所上部でアブミの最上段に乗る所があったが、それ以外は163cmの私でも2段目に立って登ることができた。
4P 5.9 このピッチも出足が悪く岩も脆い。細かいスタンスに崩れそうなフレークを使って登る。恐怖のトラバースとあるが、何が怖いのかが私にはわからなかった。トラバース後にルンゼを渡るとトポではなっていたが、ルンゼを上がった所にボルトがあったのでルンゼを上がった。
5P 5.7 ここから新人のYMOにリードを託す。本チャンデビューだったが緊張した様子もなく、スムーズにロープを伸ばしていく。問題なく終了点に到着した様子。新人とは思えない登攀だった。
6P 4級 スラブを登って草付きを登っていく。出足、変なところを登っていく新人YMO。プロテクションも取れていない。落ちそうな気配もあったがギリギリ抜けていった。しかし、岩が脆いのか落石が多いピッチだった。登攀要素もあまり感じられないので5Pまででも良かったように感じた。
当初予定した登攀を終えて、ここから第2の核心の懸垂下降である。全員で懸垂点を確認しながら降りていく。懸垂下降中の景色は絶景であった。T4テラスまで問題なく下りることができた。全部で6回懸垂したのかな。当初より1回多いような気もしたけど。残置していた荷物をパッキング、軽食を摂ってからT4尾根を懸垂で下る。尾根の末端まで5回懸垂下降した。T4尾根の懸垂は落石があるので、下で待っている人は注意が必要である。取付きに到着が14:00頃だった。上高地の最終バスが17:30。ギリギリだと思ったが、同日に帰る意思を全員持っていたので先を急いだ。
上高地着が17:10だった。最終バスに間に合って良かった。
今までは遠い存在に感じていた屏風岩を登ることができて良かったと思う。個人的な目標の3P目フリーで通過は出来なかったが、全員で屏風岩雲稜ルートを無事に登攀出来て嬉しかった。思っていたより草付きが多かったので、雨上がりや天候が悪いときは難しく感じるだろう。今回は、両日とも天候もよく、登攀も私たちとT4テラスで一緒だった関西の4人パーティだけだった。お陰でスムーズ山行を終えることができた。また、メンバーの登攀力も高かったので時間が掛かる所がなかったように思う。今後も精進して、フリークライミングに取り組んでいきたいと思う。