山行期間 |
2021年10月2日(夜)〜10月3日 |
メンバー |
HND、NGS、DTE、TKD |
山行地域 |
鈴鹿山系 御在所岳 |
山行スタイル |
フリークライミング |
元々は錫杖岳へクライミングに行く予定だったけれど、最近北アルプスで起きた地震の影響が心配されるため延期とし、予備案の御在所岳に行ってきました。
以前に前尾根には行った事があったので(雨でビシャビシャだった)、今回は中尾根にチャレンジです。前尾根よりも全体的にグレードは高くなっており、Ⅳ〜Ⅴ+です。ネットで情報収集していると難しいとの記録も多く、果たしてどうなるのか一抹の不安を抱えながら臨みました。
現地近くで前泊し、6時頃に登山口付近の駐車場へ。10月としては気温が高く、素晴らしい秋晴れで、気持ちよく藤内小屋まで歩きます。
裏道登山道を進んで藤内壁出合から踏み跡を辿り、一の壁と中尾根バットレスを左に見送ります。今回はリードが空身で、フォローが2人分のアタック装備を担いで登ることにしたため、一の壁のあたりで必要ない荷物はデポさせてもらいました。中尾根まではアプローチがわかりにくいとの事で、我々もP4の2ピッチ目取付に着いてしまったので、懸垂下降にてP4の1ピッチ目取付まで降ります。
HNDさんとNGSさん、DTEさんと僕がそれぞれペアとなって、7時40分頃登攀開始です。
・P4 1ピッチ目 Ⅴ級
HNDさんNGSさんに先に登ってもらい、僕たちは後を追います。お二人の登りをカンニングできるので気持ちが楽です。
TKDがリード。この最初のピッチは濡れている事が多く、その場合は結構気持ち悪くなるそうですが、今回は岩がカラカラに乾いていてベストコンディションです。ワイドクラックですがクラックの外にもホールドが豊富で、一つ一つホールドを拾っていけば問題ありませんでした。プロテクションもカムで安定した体勢で取れます。
・P4 2ピッチ目 Ⅴ級
DTEさんリード。危なげなく登っていきます。少しハングしているけれど、見た目ほど厳しさはないです。振り返ると前尾根が思ったよりも近くに見え、登っている人達のコールも聞こえます。
終了点からはロープを繋いだまま歩いてP3取付に降ります。
・P3 Ⅴ級
TKDリード。ホールドが豊富で下部は優しいです。上部はチムニーで、入り込み過ぎると苦しい体勢になります。今回はザックを背負ってないので、入り込んでしまっても力技で抜ける事ができました。
終了点からはロープ1本で懸垂下降し、P2取付に降ります。
・P2 1ピッチ目 Ⅳ級
DTEさんリード。取付が崩壊しているためダイレクトルート(5.10b)を最初A1して登る記録が多いのですが、我々はトラバースルート(とも違うっぽい?)をフリーで登りました。左のカンテに出るところまで、今にも剥がれそうなフレークを使って微妙なバランスでトラバースするのですが、落ちたらタダでは済まないためリードは怖いと思います。NGSさんがリードしているのを見て「うわ〜体勢が厳しそう。気をつけよう」と思ったのに、全く同じ体勢になってしまい、壁の中で固まって一瞬ヤバいと思いました。カンテから右上するのは非常に優しく、サクサク登れます。
・P2 2ピッチ目 Ⅴ級
TKDリード。右に左にトラバースしながら高度を上げ、終了点手前のオニギリと呼ばれる垂壁を目指します。そこが核心ですが、中間あたりでも1ヶ所悪いところがありました。核心の垂壁には2つの綺麗なハンガーボルトが打たれており安心感があります。また、ハンドサイズのクラックが走っていてハンドジャムがバチ効きするので、フェイスの細かいホールドとクラックを一部利用すれば良いです。
ちなみにハーケンやボルトなどの残置支点を一切使わないHNDさんは、より難しいクラックに沿って核心を越えたようです。そのラインをフォローで登るNGSさんも大変だ…。真似すると高確率で大怪我するので、僕は遠慮なく残置利用させていただきました。
終了点からロープ1本で懸垂下降し、いよいよP1取付へ。
・P1 Ⅴ級+
TKDリード。先に登っていたHNDさんから「結構悪いから残置を使った方がいい」とアドバイスをもらいました。安心してください。ここまでも余裕で残置支点を利用しまくってます。逆に何故オールNPでいけるんですかと聞きたい。ただ、HNDさんがそう言うくらいだから本当に難しいんだろうな、と覚悟して登りました。
P1はクラックが徐々に広がり、中盤以降はチムニーです。まずは下部でハングを越える部分が核心。色々試した結果、僕の場合はニーバーがガチ効きしたため、あまり苦労せず乗越せました。苦しかったのはここからで、顕著なホールドを掴んだり乗ったりではない、張力とフリクションでズリズリ上がっていくチムニー登りが怖くて怖くて、なかなか進めず非常に長い時間を使いました。ステミングやバック&フットで突っ張るのだとわかっていても、滑れば落下だと思うと怖くて突っ込めません。登り切った時は嬉しさよりも安堵感の方が大きかったです。フォローのDTEさんはさすが、スムーズに上がってきました。長時間ビレイしていただき、ありがとうございました。13時頃、登攀終了です。
P1終了点から懸垂下降を繰り返して一の壁まで降りてきたのが14時頃。先に降りていたHNDさん・NGSさんを長時間お待たせしてしまいました。
一の壁も登る予定だったのですが、あまり時間もなくなったので下山する事に。来た道を下り、15時過ぎには無事に下山完了でした。
今回は終日晴れていて岩もベストコンディションの状態だったので、オールフリーで中尾根が登れて良かったです(オールNPは難しい…)。ただ強く実感したのは、中尾根を登るならP1を登らなければならない、という事です。
ネットで山行記録を見ているとP1は登らずに下りている事が多いのですが、中尾根の白眉は絶対にP1だと思います。P4〜P2より難しいだけじゃなく、内容も充実していて登りごたえがあるので、是非チャレンジしたいルートです。
まぁでも僕は怖いので、次回はリードお譲りします!
TKD記