山行期間 | 2015年10月24日〜2015年10月25日 |
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メンバー | OSM TKD UET |
山行地域 | 北アルプス |
山行スタイル | 縦走 |
今回山行は、冬合宿に向け「七倉温泉から湯俣を経由し水晶岳」に至るルートの偵察を目的に実施した。偵察のポイントは、
以下のとおり
・雪崩ポイント(沢筋・中急斜面・雪庇等)
・緊急時のエスケープルート
・ビバーク適地(幕営・雪洞・休憩場所等ポイント)
・平坦地・支尾根等の不明瞭な地形のルート確認
・地形・風向・風景・植生・森林限界の環境
・岩場・トラバース等、難所等の確保必要地点の調査
・行動時間の把握・通信状況・必要装備等の把握・検討 等
10/23(金)
三国ヶ丘21時集合。翌日の長時間行動に備え、移動時間を短縮し睡眠時間を確保するため、近畿道~名神~中央道を北上。午前2時半七倉温泉に到着。車とテントに分かれすぐさま就寝。
(駐車場の仕切りロープは、バス・タクシー乗り場の境界。シーズン中は駐車位置に注意すること)
10/24日(土)午前4時半起床、5時半、待機時間節約のため高瀬ダムまでタクシーを利用せずに七倉温泉を出発。夜明け前の暗闇の中「山の神隧道」を進む。
1時間程歩くと高瀬ダム下部に到着。見上げるとダム上部への九十九折りの舗装路が続く。ロックフィルダムの岩稜帯を直登するのも楽しそうだが禁止されているのでご注意を。
高瀬ダムでトイレ・小休止をとり湯俣へ。ここから湯俣まで8.5km林道を高瀬川沿いに遡上する。麓は紅葉がまっ盛りで林道歩きも別の意味で楽しい。8時10分「名無避難小屋」に到着。
綺麗に整理・清掃されておりかつストーブや畳間があり10名程度利用可能に思う。緊急時には心強くありがたい存在だ。
林道終点の駐車場を越えると遊歩道になるが、ときおり木道があり積雪時はルートを外れると踏み抜きに注意しなければいけない。
出発から約3時間半で湯俣に到着。小休止と水分補給し竹村新道から急登を登る。
次のポイント展望台まで、一気に標高を約300Mを上げるため、積雪状況によっては辛いラッセルになりそうな箇所である。
「1644m槍見石展望台」付近は、西側の湯俣川側に切れており気を付ける必要がある。ここから1850Mあたりまで深い樹林帯をくねくねと進む。
比較的高い位置に既設の標符や樹木のマーキングがあるが、積雪期には埋没していたり夏道を外れ直登していた場合見えないかもしれない。
このあたりはしっかりと地図・コンパスを駆使し進むべき方向を外さないように細心の注意が必要。1900mを越えると傾斜がさらに緩やかになるとともに、大きく西に進路を変える。
このようなポイントは、斜度の変化・進行方向を確認するとともに通過後の地形・方角等もさらに確認することが必要になる。
特に下りは、気づかず支尾根に直進するケースが想定されるので、しっかりマーキングしておきたい。湯俣岳のピークを越えるとコルに向けて緩い斜面の下りとなる。
ここも深い樹林帯で方向の確認が難しく絶えずルートファインディングが必要と思う。100mほど下ると平坦な鞍部に到着。到着時刻とこの後の行程を鑑み、
2220m地点にツェルトを設営しBVポイントとした。
荷物をデポし稜線に向けて再出発。2400mを越えると稜線となり、南側は切れ落ちており滑落に注意が必要な場所が続く。また森林限界を超えハイマツ帯になることから、当日の天候・風力によってはこの手前の樹林帯でウェアの調整をすることとしたい。
14時10分南真砂岳に到着。ここから竹村新道分岐(真砂岳)までは往復2時間半が想定されること、「気象通報」の時間に間に合わなくなることから、本日の行動はここまでとし、BVポイントへ戻ることとした。
10/25日(日)
夜半から降り出した雨は、霰に変わりツェルトを「パラパラ」叩く。午前4時半、朝目覚め外に出ると雪は積もっておらず一安心。しかし気温は氷点下を下回っているのか水滴は凍っていた。
下りで注意が必要な箇所に標布をつけるため、スタート時間を調整し二日目の行動を開始。昨日とは違う目線で下りルートに標符をつけようと思うが、登りに比べ下りは標符の取り付けポイントが非常に難しい。樹林帯は見通しがきかず、少しの油断で進路を誤りそうに思える。進路が大きく変わるポイント、尾根の分岐等いくら標符があっても足りないくらい見極めが難しいと感じた。このような樹林帯を迷わず降りるには、高度な地図読み技術、的確な判断、地形を見る技術等が必要不可欠で、このような山行を積み重ね経験を積むことでスキルを上げていくしかないと思う。
午前8時、湯俣温泉晴嵐荘に到着。ほっと一息ついていると小屋の方に声をかけられる。この時期 営業小屋の締まった山域に入る登山者も少ない上、木道の整備にあたっていた小屋従業員の方が我々のBVポイントを見ており、「熊の水飲み場」であったことから特に心配していてくれたようであった。そして無事に我々が下山してきたことで声をかけていただいたようである。さらに、冷え込んでいたこともあって「お風呂に入っていく?」等と気遣いをいただき、本当にありがたく恐縮した出来事であった。
今回の偵察は、水晶岳まで届かなかったもののこの2日間の偵察で感じたことは、次のとおり
・樹林帯等のルートファインディングが困難で地図読み等が重要であること
・無雪期でも行程が長いため積雪期は体力的にも非常に厳しいことから体力強化が必要なこと
・滑落・稜線行動等危険な要素が多数存在することから基本的なアイゼン・ロープワーク等
事前の準備が成功の重要なファクターとなること これらの事項を念頭に計画的なトレーニングを進めることとしたい。
行動記録
10/24日 七倉温泉(5:30)→湯俣温泉(9:15)→BVポイント(13:00)→南真砂岳(14:10)→BVポイント(15:00)
10/25日 BVポイント(5:30)→湯俣温泉((8:00)→七倉温泉(11:10)