山行期間 | 2013年8月13日(火)夜~17日(土) |
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メンバー | SGY, KWI, SKD, TKR, NKT |
山行地域 | 南アルプス |
山行スタイル | 縦走 |
8月10日 晴れ
竹宇駒ヶ岳神社の駐車場に張ったテントから出ると暑い朝だった。今年は異常な猛暑が続いていて、そしてこの日も暑かった。人生で初めての長期縦走と3,000 m越え。しかも初日は、標高差約2,200 mの黒戸尾根を登る。どんなものなのか、体力はもつのかドキドキです。
最初からひたすらの登り。街より涼しいとはいえ、やはり真夏。汗が滝のように溢れ出します。休憩のたびに、とにかく水分と行動食を補給し、八丁登り、刃渡りの鎖場を越え、ぐんぐんと登る。途中、トレランのお兄さん達に追い越され、「既にザックの重みが堪えるわ」なんて思いながら進みました。
5合目を越えてから、ほぼ垂直の梯子と鎖場の登場です。ここからが本番。アタック前に全員で記念撮影し、気合いを入れ直して目指すは七丈小屋。面白いくらいひたすらファイト一発でよじ登りました。とにかく、暑い、きつい。
七丈小屋に到着。今日は、もう登らなくていいという安堵感と、6時間登り続けても甲斐駒ヶ岳山頂はまだまだ先で、山のでっかさを感じました。
(NKT記)
8月11日 晴れ一時雨
3時起床。ザックを背負って体調を確認すると、少し疲労感があったが、ザックの重みに慣れてきました。
登り出して4時間後、南アルプスの主峰の一つである甲斐駒ヶ岳に登頂しました。今回の目的地、北岳が遠く遠くに見え、本当に行けるのかと不安に思うほど、遠くに聳え立っていました。
甲斐駒ヶ岳を後にして、北沢峠まで一気に下る。せっかく登って来たのに、もったいなく感じた。
北沢峠から、本日のゴール地点の仙丈小屋へ向かう。毎度のように急登が続き、2,600m付近からハイ松の群生地をひたすら歩く。
仙丈ヶ岳の5合目、大滝ノ頭分岐を過ぎたころから雲行きが怪しくなってきた。ゲリラ豪雨の気配。しかもゴロゴロと雷雲が真上で鳴っている。そうこうしていると、土砂降りの雨と雷が勢いを増してきた。森林限界を超える手前で少し待機すると小康状態になり、雷の音が遠く離れていった。雨もすっかり止み、6合目では、どでかい虹を見ることができた。
予定より1時間遅れて仙丈小屋に到着。テント場がないので、山小屋素泊まりである。本日は満身創痍。明日はさらに過酷とのこと。雷だけは嫌だなと思い就寝した。
(TKR記)
8月12日 晴れ一時雨
2時30分起床。山小屋は快適でぐっすりと眠れるだろうと思ったが、夜中の足音で目が覚め、さほどではなかった。山小屋のプレハブで朝食作り。NKTさん特製トマトパスタ。8月といえども、2,800mの早朝は肌寒いため、身も心も温まる朝食はとてもありがたかった。
昨日の雨で湿り気があるウェアを身に着け、ザックを背負い、今回の合宿の山場、北岳に向けて出発だ。まだほの暗いが、ご来光を見る人たちで、頂上までの道は賑やかである。
目指すは仙丈ヶ岳頂上。小屋を出ると、すぐに登りが始まる。「最初元気な時こそ、意識してゆっくりとな・・・」と、KWIさんの言葉を聞きながら一歩足を踏み出すと、2日間歩いた距離の重みが全身にずっしりと感じられる。すごく歩みは遅いが、セーブしているわけでもなく、これが精一杯。
ご来光の前、うっすらと空が色づいてきた頃に、山頂に到着した。夜明け前の静かなこの色が一番好きである。甲斐駒ヶ岳に続き、日本百名山の2座目の証拠写真を撮り、大仙丈ヶ岳に向けて歩みを進める。気持ちの良い稜線を歩いていくと、途中でついにご来光!再び、休憩及び撮影タイム。
少しずつ薄紅色から黄金色に変わっていく空を振り返りながら、歩みを進める。ここから先はあまりメジャーなルートではないらしく、ほとんど人がいなくなった。稜線を歩いていると、今日の目的地である間ノ岳と北岳が見える。甲斐駒ヶ岳から望んだ北岳は遥か遥か遠く、本当に辿り着けるものかと思ったものだが、歩いてきた分だけ確実に近付いている。しかし、北岳はまだ遥か先だ。
ほどなく樹林帯に突入するが、ここがまたいい。まるでジブリの世界に出てくるような、屋久島パンフレットの写真のような、瑞々しい緑の中を歩く。とても気持ちよく、マイナスイオンに満ち溢れ、これまでの疲れが癒されていく。行く手を幾本もの倒木が塞いでいるが、これを超えていくのも楽しい。手つかずの自然の姿がここにあった。
伊那荒倉岳、横川岳と、小さなピークをいくつも越えていくうちに、坂の上り下りで足は悲鳴をあげ始めていた。筋肉疲労と靴擦れのダブルパンチである。この靴擦れの痛みは、自分だけだし、自分の責任だから根性で乗り切ろうと思ったのだが、このままだとチームのペースに合わせて歩くのもままならず、みなさんに迷惑をかけてしまうと思い、休息をもらった。
昨日のテーピングもはがれてしまっていたので、再びリーダーからテーピングをもらい、貼りなおす。皆さんが自分のことのように気にかけてくれ、心配してくださり、とても有難かった。同時に、自分一人のことがチーム全員に関わってくるということ、取り返しがつかなくなる前にすぐに相談することの必要性を痛感した。山行中はチーム一心同体だ。
野呂川越えから急登が休みなく続く。無心で歩みを進める。自然のままの姿でいいなぁと思っていた倒木も、「誰かのかしといてくれよ・・・」という思いになってしまう。単調な緑の中をひたすら登ると、時々木々の間から展望が開けるようになった。目の前に間ノ岳が広がり、幾分疲れた体を精神的に軽くしてくれた。
再び、稜線に出て間ノ岳の頂上を目指す。もう、精神力だけで身体を引っ張っているよう。疲労度が最高潮である。おまけに、仙丈小屋のおじさんが予想した通り、雨が降り出した。カッパを着込み、歩みを急ぐ・・・なんてことはできない。身体を前に倒して、反射的に足を出す状態である。足を引きずり、ついについに間ノ岳の頂上到着!!せっかくの頂上なのに、雨のため展望なし。日本百名山3座目の証拠写真だけを撮り、最終目的地北岳に向かう。まだあと、1時間半ですか・・・。
稜線を歩いていると、雷が鳴りだす。今まで身体を引きずるように歩いていた私たちの動きが変わる。前にピッタリとついて機敏に歩く。雷が怖い。早くテン場に!みんなの思いが1つになった。そうして、私たちの眼前に、ついに北岳の山荘が見えた。
テントの中の色々な香りにも、3日目となるとすっかり慣れ、明日の北岳の眺望を楽しみに就寝した。この日の行動時間は、なんと11時間45分だった。
(SKD記)
8月13日 晴れ
4時30分に北岳山荘を出発。夜空の見晴らしはこの山行の中で一番でした。一晩中見ていたいほどの天然のプラネタリウム。すでに頂上をめざしている人のヘッドランプが遠くの方で光っています。今日こそは頂上でご来光を!しかし途中で朝日が昇り始めました。うっすら見えてきた景色は一面雲の海原。そこに富士山だけが顔を出しています。信じられない絶景にしばし写真タイム。
頂上は沢山の人でいっぱいでした。360度のアルプスの山々と雲海と富士山。このような世界を見るのは初めてで、胸がいっぱいになりました。登ってきて、本当に良かった。みんなとてもはしゃいで、絶景に後ろ髪引かれながら下山を開始した。
大樺沢には沢山の種類の高山植物が咲き乱れていました。しかし、鹿の増加で植物の数が減っているそうです。昔はもっと咲いていたなんて・・・。いつか再生してくれる事を願います。
嘘みたいな青い夏空。八本場のコルの梯子を降り、雪渓と北岳バットレスを横目に大樺沢をひたすらに下ります。
気温が次第に上がり、下界に近づいていることを肌で感じ、ついに広河原に到着しました。めまぐるしく変わる山の天気と自然に圧倒された4日間でした。お疲れ様でした。
(NKT記)
<行動記録>
8/14 竹宇駒ヶ岳神社7:20→七丈小屋13:30
8/15 七丈小屋5:00→甲斐駒ヶ岳7:25→駒津峰9:25→北沢峠11:40→仙丈小屋16:45
8/16 仙丈小屋4:10→仙丈ヶ岳4:35→伊那荒倉岳7:45→三峰岳13:05→間ノ岳14:10→北岳山荘15:45
8/17 北岳山荘4:35→八本歯のコル5:00→北岳5:50→八本歯のコル6:50→広河原12:05