山行期間 | 2012年10月27日(土)夜~28日(日) |
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メンバー | KNS, NSN, HND, TGA, MYG, YSK, MYI, SKT |
山行地域 | 六甲 |
山行スタイル | アイゼンワーク、担荷 |
それは、霜月もまぢかにせまった、戌の刻すぎのことでございました。
六甲の麓、宝塚では、山道具をぎっしり詰め込んだザックを担ぐ一行が、意気揚々とバスに乗り込んでゆくのでございます。
これからそのバスが、いったいどこへ向かうのか知ることもなく・・・。
一行をのせたバスは、漆黒の闇に包まれた山道を、ゆるり、ゆるりと縫うように進んでまいります。
その中では、無邪気にも山の話に目を輝かせ、談笑する声が響き渡っておりました。
それからいく時か過ぎましたでしょうか、「ちがう・・・」と、不安げにつぶやく声が。
互いに顔を見合わせ、恐る恐る、「このバスは蓬莱峡へ向かいますよね?」と運転手に問いただしますと、
「いいえ」とかえってくるではありませんか。一変、その表情に不安を漂わせた一行は、辛くもそのバスを逃れ、
みずからともした灯りをあてに、暗闇の中を息きらせながら目的地へと歩んでいったのでございます。
いくら慣れた道中とはいえ、確認を怠ることのありませぬよう、ご用心下さいませ。
さて、そんな一行を迎える不運は、これだけでおさまるはずもございません。
小雨につつまれた、次の朝のことでございます。
テントの中で食事をつくっておりますと、それまでごーごーと勢いよく燃え上がっていたバーナーの火が、すーっと消えてまいります。
おまけに、ふたたび火をつけようとした、そのライターまでもが点きませぬ。
いったい、なにが起こったというのでありましょうか・・・。
そう、テントの中から酸素が失われる寸前だったのでございます。
くれぐれも、通気にだけはご用心下さいませ。
と、それまで色々とございましたが。
いいえ、ありましたが、いよいよ冬山へ向けたトレーニングの開始です。
真新しい冬山の道具をきっちりと身に付け、岩場へと。
まずは、リーダーの方々にアイゼンでの歩き方をきっちり教えて頂きながら、上り下りの練習。
上りはアイゼンの歯が地面にザクザクと心地よくささり難しくはありませんが、下りるときはみんな不慣れもあって、
体を強ばらせながら恐る恐るになってしまいます。
そんな中、何回も繰り返すうちに、まるでロボコップ状態だった上り下りも、スムーズに行え、
教えてもらったピッケルの使い方も身につき、次々に岩場を変えて楽しめるようになりました。
何度か、アイゼンの前歯でズボンを切り裂いてしまいましたが・・・。
そして最後は、本日の目標である頂を、最初は行けるようになるか不安でしたが、
なんなく(なんとか?)、踏みしめることができました。
さて、本日の締めは久しぶりのボッカ。今回は、前回より1キロだけ増やしての、びびりながらの挑戦です。
道なき道を進んでいくうちに、少しずつザックの重さが脚にきいてきて、息も上がりのどもカラカラ。
そんな姿を見て、NSNリーダーから、「トレーニングはしんどいものです。」と、叱咤激励してくださり、
最後の急登も何とか登りきり、あとは宝塚へと下りてゆきました。
ザックから石をおろすと、いつもながら羽根が生えたように身軽で、この瞬間が一番の快感です。(少しだけの間ですが・・・)
しかし、あの最後の急登を、平然と軽々登って行かれるリーダーの方々の姿には、畏れ多さを感じるとともに、
この身をもっともっと鍛え上げなければと、日々の練習を見つめ直すよい機会となりました。
(MYG記)