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Mチーム夏合宿: 剱岳 ~色んなところから攻めてみた~15/08/16

山行期間 2015年8月10日(夜)~8月16日
メンバー MTM,WKM,MSD,KTY,OSM,NKS,NKT,UET,TKD,TGA,HSO,YMG,YDA
山行地域 北アルプス 剱岳
山行スタイル アルパインクライミング


今回の夏合宿は、総勢13名を大きく3つの隊に分け、尚且つ流動的に編成し、各パーティーが各々の課題に取り組んだ。

         日程           コース                    メンバー
先発隊   8/10~13   源次郎尾根~剱岳~別山尾根            MTM,MSD,WKM,OSM,KTY
中発隊   8/12~16   剱尾根R4~三ノ窓~剱岳~別山尾根         KTY,NGS
              八ッ峰下部~熊の岩~剱岳~別山尾根       OSM,NKT
              八ッ峰Ⅵ峰Cフェース~熊の岩~剱岳~別山尾根   UET,TKD
後発隊   8/13~16   源次郎尾根~剱岳~別山尾根            TGA,HSO,YMG,YDA

先発隊 源次郎尾根
今回、初の合宿参加で楽しみではあったのですが、体力が持つかちゃんとついていけるかかなり不安でした。
10日の夜。出発の際に家から出た瞬間、ゲリラ豪雨並みの雨に遭遇してちょっと不安になったのですが(他のメンバーは雨も降ってなかったそうで)、無事に出発できました。
夜中、立山の駐車場に到着。車の中で仮眠を取り、翌日に備える。

8/11 朝、30分ほど並んでチケットを購入。お盆前だから空いているかと思いきや、ロープウェーもバスも満席でした。
室堂到着。天気がよくて景色もキレイ。まずは、帰りに登るのがいやだなぁと思わせるコンクリの道を下って雷鳥沢へ。見事な絶景で地図読みも楽しい。剱御前までの登りで軽装の欧米人の家族を見かける。子供はワンピースにスニーカーという軽装で抜きつ抜かれつしながら剱御前へ。この辺なら軽装でも登れるんだと思いつつ。剣御前から綺麗に頂上が見え、そしてここから見る源次郎尾根は、本当に登れるのかと思う急斜面でした。そこから40分ほど下ったら今日の宿泊場所の剣沢へ。空いているかと思ったら結構な数のテントが設営されてました。
荷物を置いたら早速明日の源次郎尾根までの道の偵察に。この道が急だし雪渓は歩きにくい(これは私だけで後の四人はサクサク歩いてました)しで、かなり疲れました。明日もここを歩くのかと思うと…

8/12 取りつきには早目に着いて登りたいということで翌朝、2時半起床、4時出発。暗い中、分岐点で地図も見ずに行きかけたら道を間違えて危うく一般道に行きかけました。こういうときの地図とコンパスなのに、全く学習が出来てません、私。

昨日の偵察のお蔭か雪渓までは順調に行けました。雪渓は凍っていたので、アイゼンを装着して取りつきまで。雪渓の上で登りの準備をして草地まで3メートル程の歩きがまず滑りそうで怖かったです。取り付きまでの急な道に不安を覚えつつ、取り付きへ。初めから2メートル程の岩に苦労し、木を掴みつつ進みます。かなりの急斜面でアップダウンの連続、片側が切れ落ちた断崖と気の抜けないところばかりだったので気を緩めずにしっかり登ろうと思いました。体力的にはしんどかったんですが、結構楽しく登りました。1峰までも遠かったんですが、2峰の懸垂後の道がハイキング的に登れるとあったんですが、いや、今までに比べればハイキング並みなんですが、ここから頂上までがなかなか長かった。頂上に着いたときの嬉しかったこと。

源次郎尾根で力を使い果たしたのか下山がもう長く辛かったです。カニの横ばいは、私の中では一番の核心部でめちゃめちゃ怖かったです。気力の無くなってしまった下山路の長いこと。もう本当に歩くのが嫌で危うく剱岳が嫌いになりそうでした。テント場に着いたとき嬉しくてよかったです。

8/13 この日は夜中から雨が降ったり、止んだりでした。今日は下山だけだったので、朝はゆっくりしてから出発。中発隊と合流するお二方に見送られて出発。途中、中発隊メンバーをすれ違う。山で知っている人と会うと嬉しいもんですねー。少し話をしてから別れる。室堂付近でかなりの風と雨に合いずぶ濡れに、室堂駅はすごい混雑でビックリしました。
怪我もなく無事に下山が出来て、温泉にお寿司が食べれてよかったです。(MSD)

中発隊 剣尾根R4
 昨日の雨がうそのように、いい天気だ。剣尾根のドームを仰ぎながら、早朝の池ノ谷を下る。まったく日がささず、暗い。おまけに寒い。R4の取り付きで、しばらく右往左往した。というのも、ルンゼの中は濡れているし、それに浮き石だらけで、どうにも状態が悪かったのだ。
 残念だけど、今回はR4の登攀を中止し、引き返すことにした。また今度、すっきり状態の良い時に出直すことにしよう。(KTY)

中発隊 八ツ峰下部縦走
天候不良で今回は下半部のみの縦走となりました。
下半部の取付きから1.2のコルへ行くには剱沢雪渓から長次郎谷に入り3本目のルンゼを詰める。ルンゼ入口の雪渓の状態が薄くなっていたり、シュルンドが開いていたりとイマイチだったので、スノーボラードを作り懸垂することも検討したが、1カ所降りることができる場所がありました。

1.2のコル直下のルンゼ

ルンゼ入口では先行するガイドパーティがいましたが、あっという間に見えなくなってしまう。
1.2峰のコルの取付きまではそのまま素直にルンゼを詰めると辿り着きます。途中、草付きの巻道に入ったりしたが、踏み跡は不明瞭。目印となる岩屋も入口にあるのか、途中のそれらしき岩穴か、どちらも快適にテントは張れそうに見えなかったので解りませんでした。
1.2のコルに到着し、折角なので1峰を登頂することにしました。1峰の出だしの岩場は切れ落ちていて、緊張するのでロープをだしました。途中草付きをトラバースする時も慎重に。かすかにトレースがあり、30分ほどで1峰頂上に到着。凄い高度感と気持ちのいい眺めです。2峰からは先はトレースが確認できました。懸垂支点も解りやすい。
高度感はあるが天気が良く風もない、気持ちの良い登りが続きます。4峰のピークは広々としていて休憩にちょうど良い。向かいの源次郎尾根から後発チームの呼びかけが聞こえてきた。Cフェースの登攀を終わらせたUET,TKDペアもテン場から手を振ってくれている。仲間が同じ山域にいると嬉しくなりますね。
4.5峰のコルはけっこうガレていて、落石を避けるため横に逸れてロープ回収しようとしましたが、うまく引けない。真下で慎重に回収しました。

下半部の最終5、6峰のコルへの下りは50mギリギリを含む2回の懸垂で済むらしいが、草付きをトラバースして3回懸垂するルートを選びました。2ヵ所ある懸垂支点の低い方の懸垂支点から下降を開始した結果、ロープの屈曲なども考え、懸垂を4回することになりました。下調べしていても現場で臨機応変に対応する事が大事ですね。
コルから長次郎谷へ抜ける道もガレガレで、落石には十分注意する必要がありました。
結局、懸垂下降以外でロープを出したのが1峰の行帰りだけで、個人的には帰りの熊の岩までの雪渓トラバースが一番怖かったです(OSMさんは全く平気だったようですが)。それほど八ツ峰下半部は快適に縦走することができました。(NKT)

中発隊 八ツ峰Ⅵ峰Cフェース
当初の登攀予定は、チンネ(中央チムニー~Aバンド~Bクラック)であったが、
直前に八ツ峰Ⅵ峰Cフェース(剣稜会ルート)に変更となり十分な下調べが
出来ないまま、Mチーム新人2名でアタックすることとなった。

8/15(土)
昨日迄の雨模様から一転し、快晴の中、AM6:00熊の岩BVポイントを出発。
ここからCフェースの取り付きは、長次郎谷の雪渓をトラバースするのみで
アプローチが非常にいい。
 先行パーティーが2組ほど居たので、準備をしながら順番を待つ。
AM6:30 1ピッチ目TKDリードでクライミングスタート。
スラブを順調に登っていく。35mほど登ったところのテラスで1Pの終了点。
フリクションもよく、ホールドも程よくあり非常に登りやすいようだ。
2Pは、交代しUETがリード。元々高いところは苦手な自分は、なるべく下を見ない様にしながら、多すぎると思われるぐらいランニングをとりながら進む。
広いテラスのところで、先行者に追いつき左端のリッジ側に支点を確保。
 このあたりで、少し時間的なものと心の余裕も出てきて、今日初めて写真を撮る。
天気も良くテンションが上がる。ここから上は、高度感満点の切り立ったナイフ
リッジとなる。恐怖心はあるものの抜群の眺望で気持ちいい。
この後順番にリードを交代し、5PでCフェースの頭に到着。
自分にとっては、ゲレンデ以外の初本番で非常に緊張はしたものの充実した
登攀となった。

8/16(日)
 昨日に引き続き、快晴の朝。今日は「剱」のピークを目指す。
午前5時長次郎谷の左俣を長次郎のコルめがけ登攀開始。
程よくしまった雪で、アイゼンがよく効いている。
熊の岩からの上部は傾斜が半端ない。すぐに息が上がるが、人生初の
「剱岳」に気合が入る。約1時間で長次郎のコル到着。一息いれる。
ここから本峰まで北方稜線を歩く。本峰直下でBVしていた後発隊と
合流し頂上へ。登山を始めた頃から「いつかは剱へ」の思いがようやく
叶った瞬間となった。
 快晴・無風の頂。ここまで来れた喜び。登りきった充実感。感無量の
ひと時だ。しばらく余韻を楽しみ、室堂に向け、一般ルートを下降する。
一般ルートといってもそこは「剱岳」気を抜かずしっかり確保しながら
下りていく。登り返しが体にきついが午後1時室堂に到着。
充実した4日間が幕を閉じた。

人はこうして、願い・思うことで努力をする。今日のこの感動を胸に次の
目標に向けて、頑張っていきたい。(UET)

後発隊 源次郎尾根
初日は室堂~剱沢キャンプ場まで。前日から続く雨で、この日も朝から小雨。お盆休み終盤、天気も回復が予想されるためか立山駅は早朝から登山客で賑わっていた。雨足が弱まるのを待ち、8:40に室堂を出発。11:00には剱御前小屋に到着。ここで思いがけない出会いがあり、しばしワイワイと過ごした後に早々に剱沢キャンプ場に到着。

2日目(8/15) 4:30にテン場を出発し、5:30過ぎに源次郎尾根に取り付く。事前に調べたネット情報の通り、最初の難関。我々は全装備を担いで登っていたため、登ろうにも重い。ザックを下して身一つで登り、ザックを回収。身軽であればどうってことは無い。しかし、狭い場所で上から荷物を回収するのが一苦労。そこを抜けると噂通りの木登りが始まる。枝と枝の間を走り高跳びのベリーロールのようにしてすり抜けてみたり、枝に引っかかりながら進んでいく。樹林帯を出ると八ツ峰が見え、小さく人影が見える度に「ホーホイ」の掛け声や中発隊の仲間の名前を呼んでみる。すると、「ホーホイ」のコールバック!みんなで同じ山に挑んでいるという一体感を感じた。喜びも束の間、とにかくⅠ峰が長い。登攀が難しいという所はほぼ無いが、とにかく体力勝負。危険な場所は、支尾根から本流に合流する手前のガレ場。崩壊が進んでおり、滑り落ちそうで怖かったのでロープを出してもらった。Ⅰ峰のピークに到着してからは40分程でⅡ峰のピークに到着。懸垂支点は約70年の年代物?との噂もあるが、難なく下降。そして13:30剱岳山頂へ。この日は頂上直下でBV。

3日目(8/16) 中発隊のメンバーと合流し、別山尾根を下山する。さすが剱、一般道であるがなかなか気を抜けない下りが続く。ゴールの室堂で、夏合宿の成功を喜び合ったその顔は、みんな疲れ果てていた(笑) が、高原バスの中では次に狙う山の話題も…。どれだけ疲れても、やっぱり山が好きなのである。
後発隊の夏合宿は、天候にもメンバーにも恵まれ、苦しさも楽しさに変えてしまえるくらい、とても楽しい山登りとなりました。(YMG)

蝶を呼ぶ美女 NKTさん