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錫杖岳前衛フェース 左方カンテ、一ルンゼ14/07/13

山行期間 2014年7月11日(夜)~13日
メンバー KTYM、SGY、KTYH、KDA
山行地域 錫杖岳の岩場
山行スタイル 岩登り

7月12日 晴れ
昨年の秋、取り付きで敗退した錫杖岳前衛フェース。
クライミングジム、外岩とトレーニングを重ね、再度チャレンジを試みた。
今回のメンバーは支点整理前の登攀経験者を加え、万全の態勢。心強い。
しかし、超大型スロー台風がなかなか立ち去ってくれない。
どうなることかとやきもきしたが、何とか出発にこぎつけた。
台風のせいか私たちのほかに数台の車しか停まっていない。
槍見の駐車場で約1時間仮眠した。

2時50分に駐車場を出発。
暗闇の渡渉を心配していたが、前回よりも水量が多いものの裸足で渡り切る。
錫杖出合から岩小屋方面へ。
満開のタニウツギの花が迎えてくれる。
ピンクの花は幸先がいいことの暗示かしら?

岩小屋でアタック装備を整え、北沢を登る。
視界が開けたところを少し右へ下ると左方カンテの取り付きがある。無事、取り付きに一番乗り。
岩は若干濡れているが、先週の藤内壁に比べればぜんぜん平気。

<左方カンテ>
1P クライミングシューズに履き替え、KTY夫妻がスタート。

フォローのKTYHさんに続き、SGYさんがスタート。私はセカンド。濡れていても手も足もあるルート。
ただ登り始めなので身体がかたい。立ち木とカムでプロテクション。
だいたい40mで終了点あり。2パーティが続けて登るので、終了点が重なる。

2P KDAリード。
1Pと同じく、ルンゼとクラック。
カムでプロテクションをとる。
終了点の足場はしっかりしているものの、なかなかの高度感。
遠くに穂高連峰が見える。

3P SGYリード。前半の核心部といわれているピッチ。
カンテを直上する。最初、なかなかロープが出なかった。
ピナクルの乗っ越しに少してこずっているようだ。
「昔、ここをA0しまくりで登ったのを思い出した」とぽそり。
うんうん、トレーニングの効果ばっちりですね。

4P KDAリード。
ニッコウキスゲがお出迎え。
濡れ濡れのチムニーで、難しくはないのだが、プロテクションが取れない。
何mランナウトしているのだろうか?慎重に登る。

5P SGYリード。
どこかで見たことがある感じの急傾斜のフェース。
丁寧にプロテクションを取りながら登る。残置ピンが少しある。

6P KDAリード。核心ピッチ。
左のフェースにピンがあり、そこに1本目をかけてからスタートしたいが、リーチが足りない。
立ち木のお世話になりヌンチャクをかける。
チョックストーンを乗り越えれば、そこからはクラックライン。
背後の壁も利用して登る。途中で先行のKTYHさんを見かけ手を振る。
「余裕ですね」と言われるが、「いえいえ必死です」

苦戦する私に下から「カンテへ」の声。そうやっけ?と思いつつも声に従い、左のカンテへ。
ペツル1つで不本意な終了点を構築した。
でも、そこからカンテへ戻って直上すると、すぐに本来の終了点があった。

7P SGYリード 見るからにいやらしい草付の細かいフェース。
イワカガミがまだ咲き残っている。
ところどころ濡れている上に、今にもはがれそうなフレーク。

この最終ピッチをパスして降りるパーティが多いのもわかる気がする。
SGYさんが、時間をかけて、ゆっくりと丁寧に丁寧に登る。
「やらしいですね」と声が漏れる。ピンはなく、立ち木やカムでプロテクション。

時間をかけたせいか、先行のKTYMさんが心配して覗きに来てくれた。
あとはコンテで前衛フェースの終了点へ。視界が一気に開ける。
穂高連峰が目の前に広がり、槍の穂先まで見渡せる。すばらしいパノラマ!

さて下山。
懸垂下降のアンカーまで下り、そこから、6ピッチ目のアンカーまで2回懸垂した。
しかし、実は、その5 m下にしっかりとした懸垂ポイントがあったのでした。
3回目の懸垂はロープがぎりぎりで、トップで降りたKTYMさんが、何とか工夫をしてテラスに降りた。
あと1ピッチ。計4回の懸垂下降で、注文の多い料理店の取り付きに降り立つ。

そのままカラ沢を岩小屋まで下る。岩小屋はツェルト3張と露天の大学生で超満員。
この日は、前日の睡眠が短かったせいか、即爆睡してしまいました。

7月13日 曇りのち雨
3時起床、4時出発。
昨日とは違って睡眠ばっちり、元気に取り付きに着くが、お天気が不安定。

<一ルンゼ>

1P KTY夫妻が先行し、SGYさんがリード。濡れたルンゼを登る。
50mロープをいっぱいに伸ばして終了。
KTYパーティはそんなにぎりぎりではなかったのにと思いながら登る。
2日目なので、足の感覚が岩をしっかりととらえて登りやすい。
疑問点が解けた。KTYMさんの終了点を越えて、さらに5m先にSGYさんが見えた。

2P KDAリード。プロテクションが取れない、ランアウトが続いて怖い。
ルンゼの奥まで支点を探しながら登るが、濡れているうえに良いピンがない。
終了点にはしっかりとしたピンがあるはずと思いながら、カムやら残置ピンを駆使して終了点を構築した。
あっ!左のテラスにしっかりとしたアンカーを発見した。やはり間違っていたのだ。
セカンドのSGYさんにはそちらに登ってもらう。

3P SGYリード 雨がぽつぽつとしてきた中、カンテを登る。
「ビレイ解除」のコールの頃にはしっかりと雨が降り始めた。
終了点についたときには本降りになっていた。8時30分に敗退決定。
次のピッチのペツルがキラキラ光ってるのを恨めしく眺めながら、同ルート下降。
あ~あ。梅雨が戻ってきたようだ。

ロープを目いっぱい使っての登攀。カムやナッツでランニングを取ることができない。
決して難しくはないが、絶対に落ちてはいけない。いわいる本チャン。
今まで雪彦、御在所前尾根、中尾根と何度となくトレーニングをしてきたが、それとはまた違う。
サマコレとも違いますね。
去年の明星のときにも感じた圧迫感と高度感。怖いんだけど、なんて素敵なんでしょう!
でも、これからいろいろなルートを登攀するには、もっともっと登りこんで、経験を積まなければと痛感しました。
次は「一ルンゼ」完登だ!あっ、「注文の多い料理店」も登りたいかな。
(KDA記)

<行動記録>
7/12 槍見駐車場2:50→岩小屋5:30~6:10→左方カンテ取り付き6:30→登攀終了(展望の広場)12:10→取り付き15:10→岩小屋16:00
7/13 岩小屋4:00→一ルンゼ取り付き4:30→登攀開始4:45→3P終了点8:10→取り付き10:20→岩小屋11:00→槍見駐車場13:20