山行期間 | 8/9(夜)~12 |
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メンバー | (CL) YMO,(SL) HYS,SOT,ICH |
山行地域 | 穂高 屏風岩 |
山行スタイル | アルパインクライミング |
【集中登山】
幾組かのパーティーが、それぞれ別のルートをとって一つの山に登る登山の方式。
今回の夏合宿は集中登山スタイルで行われた。
山域は穂高、槍。
このパーティは2日間で屏風岩雲稜ルートを登攀、屏風の頭経由で涸沢へ行き、3日目に別パーティと合流して滝谷ドーム中央稜の登攀を目指した。(という計画でした)
以下記録
初日
上高地05:20〜横尾07:45〜岩小屋跡08:30〜T4尾根取り付き10:00~登攀開始11:00
〜T413:50〜雲稜ルート1p目終了点17:00〜T4(泊)
予約していたタクシーで上高地へ。さすが避暑地、横尾までの歩きは涼しく快適だった。
横尾で各自計5リットルの水を補充。ザックの重量は20Kgはあり、登攀前のザックとは思えない重さ。
この計画の一番の悩みどころは水だった。
横尾から15分ほどで渡渉点の岩小屋跡に到着し、渡渉開始。
水量は少なく、ひざ下くらいだったが、とにかく冷たい!あとヌメる!転ばないように慎重に渡渉してガレたルンゼを行く。
そのままガレた沢筋を歩く。朝は涼しかったが、このころになるとドピーカンで日差しが強くかなり暑い。ほんまに登れるんか、、、?
一時間ほどで取りつきに到着。取りつき付近は特にガレがひどく、落石を起こしながら取りついた。
4人なので2パーティにわかれて登攀
T4尾根 1p目 Ⅳ
傾斜の寝たフェース。横に見える大迫力の1ルンゼがカッコいい。
今回は大量の水はロープバックに入れ、荷揚げする作戦。荷揚げする方式も迷ったが、カウンターウェイトで揚げることにした。
体重を利用するのであまり力を必要とせず、システムも簡単でこれはよかったと思うが、荷揚げは荷揚げ。かなり時間がかかった。
2p目 Ⅴー
出だしが立っているが、NPも使えてまだ安心感がある。
3p目、4p目
ほぼ歩き。3p目の出だしと4p目の最後は少し悪いので念のためロープを出した。
←荷揚げ中
どこかにひっかかるとビクともしない。
セカンドが外しながら登る。
計4ピッチでT4に到着。ザックが重いので多めにロープを出した。先行したパーティが到着したのが14時前で4人そろったのは15時前。
この日予定していたBV地の扇岩、大テラスまではあと2ピッチだが、荷揚げもあるしなあ、、、
とりあえず登る。
雲稜ルート1p目 5.7
凹角に走るクラック沿いを登る。NPが使えるので安心感はあるが、十数Kgのザックを背負い、最後のハング越えは厳しい。また、最後のハングのクラック内には浮石があり気も使う。
さすが名クラシックルート。そのへんのマルチとはグレード感からして違う。辛く感じたが、これがちゃんとした5.7らしい。明日このザックを背負って登り切れるのか?と思い始める。それにしてもこれが5.7かあ、、、
このまま2P目も行きたかったが、時間も厳しく屏風の頭はあきらめT4へ下降した。
そのままT4泊。
2日目
起床05:00~雲稜ルート登攀開始06:30~雲稜ルート5P目12:00~懸垂開始~T414:30~
T4尾根取りつき17:10~渡渉~岩小屋跡~横尾18:00(泊)
前日の夜、雲稜ルートはあきらめて滝谷ドームを優先しようという話になった(つまりこの日は一般道で涸沢へ)
が、天気予報を確認してみると3日目の天気が芳しくない。このままでは屛風も滝谷も登れずじまいで合宿が終わってしまう。それはアカン、滝谷チームの方々には申し訳ないが屏風を優先することに。
大急ぎで準備して、13時をタイムリミットとして登攀開始。
雲稜ルート1p目 5.7
同ルート下降に変更したので、スピード重視でリードは空荷。
急いで登った。
2p目 5.9
個人的には核心ピッチ(3p目を人工でいくなら)
出だしの一手、遠いガバどりが核心だが足が細かい。あと残置がぼろい。
怖気づいて安易にヌンチャクをつかんでしまった、、、空荷だったのに。
そのあとのフェースも気持ち悪くつかんでしまった。重たいロープをひきずって扇岩へ(屈曲する)。気分まで重たい。
3p目 A1 (5.11c~)
人工ピッチ。屏風はボルトラダーのイメージがあるようだが、雲稜ルートの人工はこの1ピッチのみ。
お助け紐などが増えており、最上段に立たずに登れる。簡単なおまけのような人工。
←フォローするICHさん
すごい高度感。
4p目 5.9
精神的核心ピッチ。出だしの垂壁が脆く、ポロポロしている。ムーブはわかりやすいが怖い。
垂壁を登り終えるとトラバースして草付きのルンゼを登る。
5p目 5.7
スラブ主体のピッチ。スラブをクラック沿いに登りハング下を左に避け、再びスラブ。
夏だからか後半はブッシュが多く、ただでさえ少ないホールドがどこにあるのかわからない。
最後らへんはブッシュをつかんで登った。雑草は意外とつよい。
同ルート下降ではこの5p目までで終わらせることが多いらしい。例にもれず、ここを最高到達点とした。
ちなみに5p目の終了点は3点あるが、うち一本のリングボルトが折れていた。雲稜ルートは上に行くほど終了点が悪くなるイメージ。
全員が揃うのを待って懸垂開始。
懸垂点のことを除けば、あの高度感からの懸垂は最高だ。
5p目から5回の懸垂でT4、T4からも5回。計10回の懸垂でT4尾根取りつきへ到着。
あとは横尾まで下山。
3日目
横尾~上高地
この日は滝谷の予定だったが、天気の問題もあり一足先に帰ろう、、、と思ったら横尾で別チームと遭遇。
ほかのチームも天気や合流の関係(すみませんでした)で下山とのことでした。
見送った後、こちらも遅れて上高地へ下山。
昨年、同ルート下降で経験させていただきましたが、屏風の頭に抜けるか、抜けないかでここまで内容が変わるとは思いもしませんでした。見通しが甘すぎました。もっと重荷の登攀に慣れておくべきでした。
あと、屏風は西面であり、全員が灼熱地獄のクライミングを想像していましたが、昼頃からは壁の陰に入り快適でした。
結果は敗退でしたが、初めての経験も多くこれからに活かせる山行であったと思います。
ありがとうございました。
装備(1パーティ毎)
ハーフロープ×2、カム#0.3~#2、ナッツ奇数、アルヌン60cm×10、アルヌン120cm×4、240㎝スリング、アブミ、フィフィ、ハンマー、ハーケン数枚、捨て縄、マイクロトラクション×2(荷揚げ用)など